龍・鳳凰・虎を表した古今の美術工芸品が、京都に集結

2020.9.15 05:45

重要文化財《雲龍図》海北友松 桃山時代(16世紀)建仁寺

(写真5枚)

東アジアで吉祥をもたらすとされる空想動物「瑞獣(ずいじゅう)」。そのなかでも、龍、鳳凰、虎を表した美術工芸品を取り上げ、その変遷とそこに込められた人々の思いを探る展覧会が、9月12日より「泉屋博古館」(京都市左京区)でおこなわれている。

「龍」は蛇のように細長い胴体と手足、2本の角、鋭い眼光を持つ。中国では皇帝の象徴とされ権力と深い関連を持つ一方、雨乞いの信仰の対象として水と深い関係を持っている。また、仙人の乗り物として表されることも多い。「鳳凰」は長く美しく伸びた尾羽と鮮やかな色彩が特徴で、有徳の天子の世に現れるとされた。「虎」は実在する動物ながら、その強さ、危険さゆえに神聖視され瑞獣として扱われた。

虎卣 商時代(前11世紀)泉屋博古館

本展では、古代中国の青銅器や鏡から、日中の絵画、陶磁器、染織品など多彩な美術工芸品が展示される。それらを通して分かるのは、時代によって瑞獣の姿や意味が少しずつ変化してきたこと、中国の瑞獣が日本に伝来してから独自の進化を遂げること、そして何よりも、数千年の時を超えて瑞獣たちが信仰され続けてきた事実であろう。悠久の美と歴史ロマンが堪能できる要注目展だ。期間は10月18日まで、料金は一般800円。

文/小吹隆文(美術ライター)

「開館60周年記念特別展 瑞獣伝来-空想動物でめぐる東アジア三千年の旅-」

期間:2020年9月12日(土)~10月18日(日)※月曜休(9/21開館、9/23休館) 
時間:10:00~17:00 ※入館は16:30まで
会場:泉屋博古館(京都市左京区鹿ケ谷下宮ノ前町24)
料金:一般800円、大高生600円、中学生以下無料
電話:075-771-6411

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