非公開の京都・禅寺、未発表づくしの現代アート展

2020.9.24 07:15

左から建仁寺 両足院・副住職の伊藤東凌氏と現代アーティスト山田晋也氏

(写真10枚)

京都最古の禅寺として知られる「建仁寺」(京都市東山区)の塔頭の一つ、通常非公開の「両足院」。現代アーティスト山田晋也氏の展覧会『胎内衆会ーぼくらは何処にかえるのだろう』が9月19日からおこなわれている。

アートディレクターとして、ボカロイド「初音ミク」や手塚治虫の「鉄腕アトム」など、現代のキャラクターと日本画を融合させた作品を手掛けている山田氏。今回はスタイルを一変し、日本画の技法を取り入れた抽象画で構成。

これらの作品は、もともと世間に発表する予定はなく、アトリエをたまたま訪れた両足院・副住職、伊藤東凌氏の目にとまり、展覧会を開催する運びに。「自分の心と向き合うことが困難な時代と言えますが、山田氏が自身の声に耳を傾け、独自の視覚言語をもって作品を生みだされたことを感じました。作品を通して自身の心の有り様を見つめ直す機会になればと願っています」と、伊藤氏は話す。

展示は2つのテーマから構成され、1つは、「清濁」をテーマにした作品群。「日々生きていく間にさまざまな出来事が積み重なり、自分自身が良き悪きにでき上がっていきます。そんないつの間にか僕のなかに生まれたコンプレックス、悔しさ、悲しさ、そして暖かさなどの感情を、過ごした時間の記憶の深海に潜り、そのまま作品に吐き出してみました」と、山田氏。

本展覧会では、方丈に16点の作品を展示
本展覧会では、方丈に16点の作品を展示

もうひとつはコロナ禍で描き始め、「胎内」をテーマにした作品群。「僕はどこにかえりたくて、どこで生まれたのだろう。細胞の記憶はどこにあるのだろう。その先には? その原点は? 阿と吽は共に一つで、因と果のある場所を、いつからか胎内と浄土と考えるようになりました」と作品に込めた思いを説明する。

通常は非公開の塔頭であり、作品と方丈に面する日本庭園と織りなす独自の空間も必見。また、方丈内陣にある本尊「阿弥陀如来立像」の前に半透明の作品を展示し、作品を通して阿弥陀如来像を拝することができる。期間は、10月10日まで、鑑賞料金は800円(拝観料含む)。

取材・文・写真/天野準子

『山田晋也 胎内衆会 ーぼくらは何処にかえるのだろう』

期間:2020年9月19日(土)~10月10日(土)
時間:10:00~16:00
会場:建仁寺 両足院(京都市東山区大和大路通四条下ル4 小松町591)
料金:大人800円、小中学生無料(両足院拝観料を含む)
電話:075-561-3216

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