未曾有の事態でどうする?関西の劇場の挑戦〜KAVCの場合
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新開地をアートの力を通じてさらに活気あふれる街にしたいという想いから1996年にオープンした「神戸アートビレッジセンター」
「こんな時こそ新しい演劇の形を模索するチャンス」(大谷)
KAVCの2Fにある劇場(KAVCホール)は、二面舞台や囲み舞台、あるいは客席のまったくないオールフラット仕様など、劇場機構の自由度がかなり高いのが特徴だ。またソフト面では、集客力のある催しだけでなく、地元アーティストの成長のきっかけとなるような企画を重視している。
その両面を象徴するのが、今年で2回目となる企画『KAVC FLAG COMPANY(以下KFC)』だ。この空間をユニークに活用しそうな若手劇団を集め、彼らの要望を最大限に活かした形で、公演を実現する。昨年は7団体が参加したが、「額縁舞台」と言われる一般的な形式で上演したのは、7劇団のうち2団体だけだったという。

木下は20~30代に、KAVCで作品を発表し続けていた頃を振りかえりながら「客席を劇場のどこに作ればいいか? という所から考えさせられる空間なので、『お客さんの心を、どうやってコントロールするのか?』という、演出家にとってすごく大事な要素を鍛えられました。それは当然、今の大きな舞台の仕事にも生かされてます。昨年のKFCは、本当に公演によって(劇場の)使い方が違ったので、いろんな点で可能性を感じました」と語る。
大谷の方も「前衛的であると同時に、社会性や普遍性というものを、身体と言語を使ってどう表現するか? というのが、小劇場と言われる劇団のあり方だと思うんです。昨年のKFCの団体は、それを意識している所もあれば、意識はしてないけどそうなってしまっている所もありました。また劇団によっては、(劇場のある)新開地をリサーチして、地域の匂いを作品に取り込んだりしてたんです。そういう意味でも、KAVCだからこそ作れた舞台があったと思います」と、大きな刺激と手応えを感じたと言う。

今年のKFCには6団体がラインアップ。オーソドックスな会話劇の集団もあれば、映像や美術をミックスした所もありと、今回も期待が持てる顔ぶれだ。とはいえ今年は新型コロナウイルスの影響で、劇場・参加団体ともに、これまでにない形の不安を抱えている状況。そのためにも木下は「今年は劇団さんに、できるだけ寄り添っていこうと思います」と宣言する。
「昨年は割と『みなさんにお任せします』という感じで、あまり各劇団の核心的な所までは、僕からは踏み込んでいかなかったんです。でも今年は『今後どうやって活動していこうか』という部分で悩んでる人も多いので、それを他人事じゃなく、一緒に考えましょう、という姿勢で進めていきたい。今は配信に向けて、劇場のネット環境を整えている所なんですけど、それも彼らから出てくるアイディアを、できるだけ実現する方向で整備していこうと思います」。
このオンライン配信への取り組みについては、大谷から「舞台の映像って、ロングとアップのスイッチングをしてるだけみたいなものが多いので、何かオンラインならではの・・・、生で観るのとはまた違うライブ感みたいなものが出せたら、すごく面白くなるはず。今は演劇関係者が苦境に立たされている時代だけど、こんな時こそ新しい演劇の形を模索するチャンスだと、僕は思います」という前向きな言葉が。この力強いバックアップがあれば、劇場の使い方だけでなく、オンライン演劇の新しい形まで提示する劇団が、KFCから生まれるかもしれない。
『KAVC FLAG COMPANY 2020-2021』
日程:2020年11月~2021年3月
会場:神戸アートビレッジセンターKAVCホール(神戸市兵庫区新開地5-3−14)
料金:観劇パスポート10000円、個別チケットは劇団ごとに設定
電話:078-512-5500
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