水道料金値下げや光回線開通、神戸市が六甲山上へにぎわいを

2020.10.9 10:45

六甲山上(六甲サイレンスリゾート)からの景色

(写真6枚)

神戸市は、10月8日におこなわれた市長定例会見で、今年5月に発表した「六甲山上スマートシティ構想」の運営事業者や参画企業が決まったことを報告した。

六甲山上に企業や人のにぎわいを誘致するため、さまざまな環境整備を進める神戸市。そのひとつが、山上の水道料金を2021年4月から値下げすることだ。

現在は、市街地よりも割高な六甲山上の水道料金。市街地と別の水源や浄水場を使うため、そもそも「別事業」で料金体系が異なっていた。

しかも山上の建物は保養所や別荘がほとんどで冬場の利用が見込めず、使用量に応じた料金制は適さないため、基本料金を高くしていたことも理由だ。

しかし今回、技術革新により六甲山上と市街地の水道事業が統合。同じ料金体系が実現できることになった。平均的な水道使用の場合、事務所は年間約3万円、ホテルは年間約80万円の減額が見込まれるという。

また、インターネット光回線の整備もあわせて発表。実はこれまで、六甲山上には光回線が通っておらず、通信速度の遅延により山上にある事業所からは「メールの添付ファイルがなかなか送れない」と不満の声も聞かれていた。

それが今回のスマートシティ構想を機にようやく整備され、12月25日からサービスを開始する予定だ。

これまでレジャーの対象だった六甲山だが、「暮らす・働く場所」としての不便が大幅に解消され、久元喜造神戸市長がつねづね発言している「withコロナの時代は自然豊かな場所で暮らす・働くのも選択肢」のイメージに近づく。

会見で久元市長は、「六甲山は神戸市民にとって大事な場所。明治時代、はげ山に植林し、人が手を加えながら作ってきた自然。それを現代にふさわしい形に整備して、恵みを受け取ることは私たちの使命ではないか」と話した。

スマートシティ構想では、山上の拠点として泊まることもできるレンタルオフィス・コワーキングスペース「ROKKONOMAD(ロッコノマド)(仮称)」を設置し、事業者やフリーランスが短期滞在できるプログラムなどを予定。来年春の開業をめざす。

取材・文・写真/合楽仁美

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