「米国音楽の良心」ザ・バンドが映画に、名曲と語りで辿る
■ 徐々に浮かび上がる、ギリギリで分裂を回避しつつ歩んでいたバンドの姿
デビュー時からどこか老成した佇まいと音楽性を持っていたザ・バンドだが、各会場で猛烈なブーイングを観客から受けながらもディランのバックを懸命に務め続ける彼らの姿は、アグレッシブな新鋭ロッカーそのものだ。
そして、ウッドストックでピンクに塗装された家を見つけ、その地下室に作ったスタジオを拠点に自分たちの音楽を追求し始めた彼らは、「米国音楽におけるビートルズ」と呼ぶべき傑作を連発しながら躍進を遂げていくが、それぞれがソロとしてもやっていける力量と個性を持った5人が奇跡的なバランス関係を保ちながら創作だけにピュアに専念できる幸福な時期は、そう長くは続かない。
過度のアルコール摂取やドラッグの蔓延、プレッシャー、作曲者クレジットの問題などがメンバー間に亀裂をもたらしていくのは、ザ・バンドが残した8枚のオリジナル・アルバムを順番に聴いていても薄々と感じることだが、本作品ではワーカホリックに曲を書き続けてバンドを支えたギタリスト兼ソングライターだったロビーの観点からその経緯が語られる。
コレが「真実」だったのかと問われれば、勤勉でしっかり者だったロビーにとってはそうであり、ほかのメンバーにはまた違った「真相」があったのだろうとしか言いようがないが、ウッドストック時代の貴重な写真やプライベート映像、大兄貴分のロニー・ホーキンスやロビーの妻だったドミニック、当時のマネージャーなどの証言も交えながら、ギリギリで分裂を回避しつつ歩んでいたバンドの姿が浮かび上がってくる。
初期の多くの曲で繊細なファルセットの歌声を響かせていたリチャード・マニュエルがだんだんと歌わなくなった理由、後期を代表する起死回生の傑作『南十字星』(75年)での吹っ切れぶりなども、特に後追いでザ・バンドの作品群に触れてきた聴き手にとっては、改めてなるほどと実感できる点が多いに違いない。
映画『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』
10月30日(金)シネ・リーブル梅田、アップリンク京都
11月6日(金)シネ・リーブル神戸
監督:ダニエル・ロアー
製作総指揮:マーティン・スコセッシ、ロン・ハワード
原案:「ロビー・ロバートソン自伝 ザ・バンドの青春」(ロビー・ロバートソン著、奥田祐士訳、DU BOOKS刊)
2019年/カナダ、アメリカ
101分
配給:彩プロ
関連記事
あなたにオススメ
コラボPR
-
大阪クリスマスケーキまとめ2024年、百貨店から高級ホテルまで
2024.11.20 10:00 -
滋賀のホテルで優雅に、アフタヌーンティー2024年最新版
2024.11.18 14:00 -
関西から北海道旅。おすすめは大自然×ワイン×グルメ[PR]
2024.11.15 10:30 -
神戸のホテルで贅沢に、アフタヌーンティー2024年最新版
2024.11.14 14:00 -
京都のホテルで楽しむ、アフタヌーンティー2024年最新版
2024.11.14 12:00 -
インタビューまとめ【芸人編】
2024.11.12 16:30 -
ホテルで甘いものを満喫、関西スイーツビュッフェ・リスト
2024.11.12 15:00 -
ホテルで贅沢に…大阪アフタヌーンティー2024年完全版
2024.11.12 14:00 -
京都クリスマスケーキまとめ2024年、百貨店から高級ホテルまで
2024.11.12 12:00 -
大阪から行く高知のおでかけ・グルメ2024最新版
2024.11.6 15:50 -
神戸クリスマスケーキまとめ2024年、百貨店から高級ホテルまで
2024.11.5 12:00 -
大阪&京都で1カ月限定「酒祭2024」が開幕![PR]
2024.11.1 10:00 -
論争巻き起こるチキン南蛮問題、本場で徹底検証![PR]
2024.11.1 07:00 -
淡路島の観光&おでかけ&グルメスポット、2024年最新版
2024.10.31 19:45 -
スマホを落としただけなのに…本当にあった話にゾッ[PR]
2024.10.25 17:00 -
石川の旅は星野リゾートのホテルへ。伝統文化を体験[PR]
2024.10.24 09:00 -
お得に鉄道旅! 今話題の「北陸エリア」へ[PR]
2024.10.23 13:15 -
「淡路島の海」を自分の手で…旅をアートで持ち帰る[PR]
2024.10.19 08:30 -
奈良のホテルで贅沢に、アフタヌーンティー2024年最新版
2024.10.7 11:00 -
映画評論家・ミルクマン斉藤氏を悼んで インタビューまとめ
2024.9.30 08:00 -
2024年は開業ラッシュ!大阪・梅田の新商業施設まとめ
2024.9.25 11:00