テレビは本当にオワコン? 実験的な田村淳MC番組から考える

2020.11.1 19:45

MCの田村淳

(写真2枚)

無音でもわかるよう、全てのコメントをテロップに

この番組のチャレンジングな姿勢は、前述のように映像編集やテロップ出しの振り切り方にも表れている。ワンカットが目まぐるしく切り替わる編集は、YouTubeの番組以上のスピード感だ。

9月10日放送回のゲスト、ヨーロッパ企画・上田誠も「この番組はジェットカット(「えー」など不要な間を残らず削除していくYouTuber独特の編集方法)を使っている。今までテレビでは美しくないとされていたが、密度が上がる」と、同番組の情報量の多さや圧力について触れた。

編集に関して平岡氏も、「ワンカットは1秒もないです。技法的にはYouTubeの番組を参考にしていますが、1番のきっかけは初回の撮影を終えて編集に取りかかったとき。いつものテレビの時間感覚で編集していると、淳さんとゲストの話のテンポがゆっくりしているように感じて。ほかのスタッフと話し合ってちょっとした間も切るようにしたところ、30分番組ですが45分番組以上の情報量に」と、特殊な編集スタイルについて明かした。

https://twitter.com/Contents_Holic/status/1314511763744845825
すさまじいスピード感で『フォートナイト』をプレゼンする小籔千豊回(TVerで視聴可能)

テロップのフォントはデカデカとしており、画面を埋め尽くすほど多数出てくる。これはテレビではもちろんインパクトがあり見やすく、さらにスマホで鑑賞することを想定した演出だそうで、「電車のなかでイヤホンをせず、無音でテロップの文字を追って、それでも内容が分かるものにしています」と、意図を口にした。

平岡氏は、「テレビの1番のデメリットは、番組の放映時間をテレビ局が勝手に決めているところ。ほんの少し前まで、2分見逃したらもうその箇所は観られなかった。今の世のなか、そんなことってありえないと思いませんか? テレビも、好きなタイミングで観られるのが1番良い形。実際に僕もリアルタイムでテレビを観るより、TVerを利用することの方が多いです」と語る。

テレビの可能性を実験し続けて、おもしろくしていきたい

型破りなところがおもしろい『コンテンツHolic』。淳も1回目のオンエア時、「あいつは裏切り者だと言われるかもしれない。でも5年経てば、(この番組が間違っていないことが)分かるから。自信を持ってやろう」と発言していた。

平岡氏は改めて「テレビは本当にオワコンなのでしょうか?」と問いかける。そして「おもしろいかおもしろくないかは、受け手の判断。こちらはそれを決めつけて番組を作ってはいけない。今後も番組にはテレビ関係者が出演する予定ですが、そういった機会でなるべくヒントを得て、テレビをおもしろくしていきたい」と、意気込んだ。

『田村淳のコンテンツHolic』は、毎週木曜・深夜0時25分から放送。現在TVerやMBS動画イズムにて、動画クリエイターの明石ガクト、2チャンネル開設者のひろゆき、劇作家の上田誠、芸人の小籔千豊、映画監督の小林勇貴が出演する放送回が無料配信されている。

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