あの企業のロゴも!関西が誇るデザイナー、今竹七郎の回顧展

2020.11.12 06:15

展覧会会場風景。さまざまな企業の社章、ポスター、パッケージデザインが並んでいる。なかには輪ゴムの「オーバンド」(株式会社 共和)など、現在も使われ続けているデザインも

(写真10枚)

昭和の関西で大活躍したグラフィックデザイナー、今竹七郎(1905~2000)。彼の業績を振りかえる展覧会が「西宮市大谷記念美術館」(兵庫県西宮市)で、12月6日までおこなわれている。

今竹は神戸に生まれ、戦中から亡くなるまで西宮市に居住していた。デザイナー人生は1927年に入社した神戸大丸意匠部から始まり、1931年に大阪高島屋に転職、戦後は大阪にスタジオを開設し、住友銀行、東レ、住友化学、近江兄弟社、丸善石油、新日本電気(NEC)など、名立たる企業のAD(アートディレクター)を務めた。また絵画制作もおこない、抽象絵画や「モナリザ」シリーズなどの作品を残している。

今竹七郎のスケッチブックより。企業のロゴマークや商品ラベルの制作過程が窺える

本展では400点以上の作品・資料で彼のキャリアを一望。百貨店時代のポスターやパンフレット、現在もほぼ同じデザインが使用されている株式会社共和の輪ゴム「オーバンド」などの仕事は、今見ても魅力的だ。また、学生時代のノートには印刷物さながらの精密な図版が描かれており、その早熟ぶりが窺える。スケッチ類も豊富で、企業のロゴマークを練り上げていく過程が手に取るように分かる。

現代のデザインはデジタルだが、今竹の時代はすべてを手作業でおこなった。それゆえ彼のデザインには当時最先端の洗練と同時に、手作りの親しみやすさが感じられる。社会に浸透し、我々の日常生活を豊かにしてくれるデザイン。その素晴らしさが伝わる好企画だ。一般1000円。

取材・文/小吹隆文(美術ライター)

『没後20年 今竹七郎展~近代日本デザインのパイオニア~』

期間:2020年10月10日(土)~12月6日(日)※水曜休
時間:10:00~17:00 ※入館は16:30まで  
会場:西宮市大谷記念美術館(西宮市中浜町4-38)
料金:一般1000円、大高生600円、中小生400円
電話:0798-33-0164

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