キングコング西野が映画初挑戦「失敗する確率を下げる」

2020.12.24 21:15

原作・脚本・製作総指揮を務める西野亮廣。エンディング主題歌「えんとつ町のプペル」の作詞も担当

(写真8枚)

「『日本中の漫才師を黙らせてやろう』という気持ちだった」

──『えんとつ町のプペル』は「上ばかり見ていると、足元に注意がいかないようになって下に落ちる」という話もあります。あと、上が煙で見えないとか。2000年代は『M-1グランプリ』に挑むことでお笑いのトップを目指していらっしゃいましたよね。

僕は、梶原くんほどM-1に対する気持ちは強くなかった気もします。でも第7回大会(2007年)のとき、テレビ出演が中心になってしばらく出場していなかった頃、ほかの芸人さんにいろいろ言われたんです。

「キングコングはゴールデンのテレビ芸人やからなあ」とか。当時は僕も若かったものですから、ムカついちゃって。「ちょっと待って。第1回大会のときに戦って、あなたたちに勝って決勝へいったじゃないですか。それで東京のテレビに出てるんですけど」って。

──確かにそんな風に言われると頭にきちゃいますよね。

「忘れたのか? じゃあもう1回、思い出させてやる」という感じで出たんです(笑)。ただ、漫才を1年間やってきた人たちに対して、テレビが忙しかったから、自分たちはネタを作れる時間が本当になかった。

その合間でネタを作って、それで「日本中の漫才師を黙らせてやる、俺が王だ」みたいな気持ちでやってやろうと思ったら、最後の最後でサンドウィッチマンさんに負けました。サンドウィッチマンさんの方が面白かったですね、やっぱり。

──サンドウィッチマンは敗者復活から優勝まで駆け上がった。西野さんが近年、ずっとおっしゃっている「一度負けて、這い上がってくるストーリーの重要性」がまさに当てはまります。

そうなんですよ。それに、もともとサンドウィッチマンさんは僕らの100倍面白い。たまたま準決勝で一度落ちただけの話。

(決勝のファーストラウンドで)僕たちがずっとトップだったけど、敗者復活で出てこられて、サンドウィッチマンさんが自分たちの点数を1点上回ったとき、日本中が敗者復活からの逆転優勝を期待している感じがあった。

当時のM-1については「あのときは僕も若かったから(笑)」と振り返った西野

──テレビで観ていても確かにそれはありました。

「あ、これはひっくり返せないものなんだ」と思いました。漫才のネタもサンドウィッチマンさんの方が面白いんですけど、そういうこと以上に、この日は『サンドウィッチマンさんが優勝』ってこの世界がもう決めたんだなって。こういう力には抗えないんだなというのは思いましたね。

もうね、みんなの目がキラキラしていましたから。「サンドウィッチマンさん優勝して!」ってなってて。最終決戦に出るときは、嫌で嫌で仕方なかったです。

──キングコングは全国的な知名度があったけど、サンドウィッチマンは当時あまり知られていなかったから、余計にその爆発力がありましたよね。

そうですね。確かにサンドウィッチマンさんの方が、キャラバレやネタバレをしていないから圧倒的有利な状況ではありました。でもそれ以上にやっぱり物語の強さですよね。あと、シンプルに僕らよりもネタがおもしろかった。

僕は舞台袖でネタを見ていて「あ、これは負けだな」って。自分たちと闘っている相手のネタを見て手を叩いてゲラゲラ笑っていたから。そりゃもう抗えないですよね。

『えんとつ町のプペル』

製作総指揮・原作・脚本:西野亮廣
監督:廣田裕介
声:窪田正孝、芦田愛菜、立川志の輔、小池栄子、藤森慎吾、野間口徹、伊藤沙莉、ほか
配給:東宝=吉本興業
(C)西野亮廣/「映画えんとつ町のプペル」製作委員会

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