緻密すぎる消しゴムはんこ、その根底にあるのは奈良愛だった

2021.1.3 19:15

1月4日・21時からウェブショップにて販売されるという「十二支はんこ」

(写真14枚)

■ 細かさに圧倒される「仏像版画」

そんな消しゴムハンコ愛と奈良愛は、「仏像版画」づくりにも発展。0.3ミリのシャーペンで消しゴムの版に絵を描き、彫刻刀でびっしり彫り込まれた作品は圧巻だ。

「仏像を見に行くのが好きで、ある日、當麻寺(奈良県葛城市)で見た『持国天像』が本当に美しくて、インスピレーションを受けて家に帰って彫り始めました。それからいろんな仏像を彫ってネットにアップしているうちに、御朱印を彫るお仕事をいただいたり。少しずつ、活動にも広がりが出てきてうれしいです」。

福井県大安禅寺の「正十一面観世音菩薩立像」。特別御朱印に使用されている

これまではイベントでの販売がメインで、今年は個展もおこなう予定だったが、新型コロナウイルスの影響により中止に。思い切って、8月にはネットショップを開設した。立ち上げ記念で、正倉院文様の名刺サイズの版画を作ったらあっという間に完売したという。

「どうしても時間がかかるのでお値段は落とせないんですが、楽しみにしている方が増えてうれしい限りです。修行のように無心で彫ったり、世界観を考えるのが好きで作り続けていたら、いつの間にか『つまびきや』のファンが増えていました。これからも、美しいものづくりに挑戦していきたいです」と意気込む。

作家のナカノさん

奈良への土着的な愛から生まれた「つまびきや」。ひとつひとつの作品に込められた想いが圧巻だった。「好き」という真っ直ぐな気持ちが形になった温かい作品たちを、ぜひ一度見てみてほしい。

取材・文/小田切萌

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