いにしえの日本の色を再現・復元 吉岡幸雄・没後初の展覧会

2021.1.6 06:45

源氏物語 澪標(みおつくし)

(写真5枚)

染色家、染織史家として多大な功績を残した吉岡幸雄。2019年9月に急逝した彼の、没後初の展覧会が、「細見美術館」(京都市左京区)で、1月5日よりおこなわれる。

吉岡は京都で江戸時代から続く染色工房「染司よしおか」の五代目当主だった(現在は三女・更紗氏が六代目当主として後継)。彼は古代の文献をひもとき、伝世の染織遺品や古今東西の美術工芸品を研究して、日本古来の色彩の再現・復元に尽力したことで知られている。

たとえば、東大寺二月堂のお水取り、石清水八幡宮の放生会、薬師寺の花会式に用いられる花の染和紙を毎年欠かさず献納している。また、薬師寺や東大寺などに伝わる天平時代の伎楽衣装を天然染料で復元、「源氏物語」など古典文学に表現された衣裳の再現などもおこなっている。日本古来の色を現代、そして未来へと継承するうえで、吉岡の果たした役割はきわめて大きいと言えるだろう。

この展覧会では、吉岡幸雄が再現・復元した衣裳や染織品の数々を展示するとともに、彼と父・常雄が蒐集した古裂類(正倉院裂、法隆寺裂、古代インド更紗、小袖裂など)も合わせて紹介。限りない深みと広がりを見せる染色の美を体感できる。期間は4月11日まで、料金は一般1400円。

文/小吹隆文(美術ライター)

『日本の色-吉岡幸雄の仕事と蒐集-』

期間:2021年1月5日(火)~2月21日(日)、2月23日(火)〜4月11日(日)※月曜休(1/11開館、1/12休館)
時間:10:00~17:00 ※入館は16:30まで
会場:細見美術館(京都市左京区岡崎最勝寺町6-3)
料金:一般1400円、学生1100円
電話:075-752-5555

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