鬼滅ファンに人気、「炎柱」「音柱」お守りが奈良で話題

2021.1.5 17:45

葛木坐火雷神社の「火守」と「音守」(初穂料1000円)

(写真7枚)

社会現象になるほど人気の漫画『鬼滅の刃』(著・吾峠呼世晴)。SNSを中心に鬼滅の聖地と呼ばれ、注目を集めるようになった「葛木坐火雷神社(かつらきにいますほのいかづちじんじゃ)」(奈良県葛城市)では、もともと存在する2つのお守りが、鬼滅の「炎柱」(煉獄さん)「音柱」(宇髄さん)とファンから呼ばれるようになったという。

同社は、主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)の友人で人気キャラ、我妻善逸(あがつまぜんいつ)の最終奥義「雷の呼吸漆ノ型火雷神」と社名の一部が同じ。そのことから、ファンが観光協会を通じてコスプレ撮影をするようになり、聖地と呼ばれるようになった経緯がある。映画『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』の公開にともない、10月、11月は毎週末に、子どもを連れた参拝者が増加した。

同社の主祭神の一柱は、『火雷大神(ほのいかずちのおおかみ)』という消防関係や飲食業、製造業など火を扱う職業から崇敬を集めている雷神で火神だ。もう一柱は、笛吹連(ふえふきのむらじ)の祖神で、音楽にゆかりがある神『天香山命(あめのかぐやまのみこと)』。吹奏楽部など笛やフルート、尺八など楽器の上達を願う人々から崇敬を集めている。それぞれの御加護をいただけるのが「火守」と「音守」のお守りだ。

この「火守」が『炎の呼吸』を使う煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)の称号「炎柱」と、「音守」が『音の呼吸』を使う二刀流の剣士、宇髄天元(うずいてんげん)の称号「音柱」に似ていると話題に。同作で鬼狩りをおこなう鬼殺隊の最高位の剣士である「柱」の1人で、どちらもイケメンの人気キャラとして知られている。

これらのお守りが、いつから「炎柱」「音柱」とファンに呼ばれるようになったのか、持田照久宮司に訊いた。

「同社での鬼滅コスプレがニュースになり、土日の参拝者が急増した昨年6月末頃から、お守りの授与時に『煉獄さんの炎柱みたい、宇随さんの音柱みたい』と参拝者が言うのを耳にするようになりました」と宮司。気になってSNSで検索したところ、お守りが紹介されているのを発見したという。

「こちらが意図したわけでもないのに、もともとあるものがたまたま鬼滅っぽいと言われて驚きました。神社と神様を(鬼滅に)結びつけるのは日本人らしいのかな」と話す。

我妻善逸の羽織の柄っぽいと言われる「こども守」(初穂料500円)

特に「音守」は境内の波々迦木(ハハカノキ)の葉をデザインしたものにも関わらず、ファンから「宇随さんの左目の模様みたい」と言われるのだとか。さらに最近では、「こども守」の柄が善逸の羽織の模様に似ていると言われるようになった。すべて昔から神社にあったもので、コラボしたわけではない。

ところが、フリマアプリでこれらのお守りが販売されるなど、困ったことも起きている。そのため神社では、お守りや御朱印の本来の意味を分かりやすく説明した案内を用意した。

「煉獄さんが好きだから」と「火守」を授かる、奈良市から訪れた小学3年生

持田宮司は「何がきっかけであっても神社の歴史や御神徳を知っていただく良いきっかけになればうれしいです。お土産やグッズ感覚ではなく、本来の意味を知っていただけたら」と思いを語った。

取材・写真/いずみゆか

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