最優秀賞は優しさあふれるアニメーション作品、若手作家の選抜展

2021.2.2 09:15

ジダーノワ・アリーナ《バーブシュカ》(最優秀賞)

(写真6枚)

京都を中心に活動する若手作家を紹介・発信する展覧会が、「京都文化博物館」(京都市中京区)の4階展示室で、2月7日までおこなわれている。

今年は144名の推薦作家のなかから、審査を通過した40名の作品が見られる。最優秀賞を受賞したのは、京都市在住のロシア人作家、ジダーノワ・アリーナの『バーブシュカ』。父方と母方、2人の祖母の記憶をテーマにした私的なストーリーを、手描きのアニメーションなどを用いてシンプルに表現した。

優秀賞は肥後亮佑の『NullIsland』。インターネット上に存在する架空の島をモチーフにした作品で、現実世界と仮想世界の境界が曖昧になった近年の状況を浮き彫りにしている。また、メディア賞に7名、国際賞に2名が選ばれている。

最優秀賞を受賞したジダーノワ・アリーナと、受賞作品

選考・審査委員の太田垣實氏は、「本展では過去2回と同様に映像作品が最優秀賞を受賞した。しかし工芸などほかのジャンルの作品も優秀で、審査は例年以上に接戦だった」と講評。最優秀賞については「手描きの絵の素朴な温かさが感じられる作品。現代の多文化性・多様性のなかで自分のアイデンティティを追求している。いま世界では対立や分断が進んでいると言われ、また新型コロナ禍の鬱々とした状況がある。そのなかで彼女の作品が持つ親密さ、やさしさは癒やしとして作用するのではないか」と話した。

次代を担う若手作家の動向を知りたい方は見ておくべき展覧会。なお、京都文化博物館別館ホールでは特別出品として、現代アーティスト・高嶺格の個展がおこなわれている。こちらもお見逃しなく。料金は一般500円。

取材・文/小吹隆文(美術ライター)

『Kyoto Art for Tomorrow 2021 京都府新鋭選抜展』

期間:2021年1月23日(土)〜2月7日(日)※月曜休 
時間:10:00〜18:00(金曜〜19:30) 
会場:京都文化博物館(京都市中京区三条高倉)
料金:一般500円、大学生400円、高校生以下無料
電話:075-222-0888

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