明日海りおや千葉雄大の深化に釘づけ、リピート続出の『ポーの一族』

いばらで心を閉ざしていたエドガー(明日海りお)は、アランの存在によって解き放たれ、新たな地平へと旅立つ。撮影:岸隆子(Studio Elenish)
元宝塚歌劇団花組トップスター・明日海りおと、俳優・千葉雄大が出演する『ミュージカル・ゴシック「ポーの一族」』では、1月の大阪公演で2回、東京公演ですでに1回ライブ配信がおこなわれ、そのたびに「ポーの一族」がTwitterでトレンド入りするほど人気に。なぜそれほど人々の心を惹きつけるのか。
大阪公演の舞台を観劇し、大阪・東京のライブ配信を観て感じたのは、この作品とライブ配信の相性の良さ、そしてキャストたちの演技の深化だ。特に念願の初ミュージカルに挑戦している千葉に関しては、かなりの難曲を安定した発声のポジションで歌い上げ、声量が増し、より押し出しのあるキャクラター造形につながっていた。
原作は1972年の発表以来愛される萩尾望都の傑作同名漫画。妹を守るためバンパネラ(吸血鬼)となり、自分の運命を呪いながら愛を求めて彷徨うエドガー・ポーツネル(明日海りお)と、家族からも友人からも孤立している名家の子息、アラン・トワイライト(千葉雄大)。2人の少年の出会いと旅立ちが舞台の大きな軸に。
3年前の初演(宝塚歌劇団花組公演)に続き、再びエドガーを演じる明日海りおは、初演よりメイクは薄めだが、瞳の奥にさらに鋭い魔性の光が宿っているのを配信で実感。妹のメリーベルにアランを紹介した後、「どう? 彼」と冷静に訊ねる表情にゾクッと怖さを感じるなど、どの瞬間も見逃せない。
原作者・萩尾望都が認める「エドガーそのもの」の完成度で舞台を引っ張る明日海に対して、千葉雄大はアランの心の不安定さをうまく自身に引きつけるように演じ、存在にリアリティがある。金髪にグリーンアイというビジュアルが美しくハマり、極限まで追いつめられ助けを求めて絶叫する姿が目に焼きつく。

東京公演では学校の友人たちとの場面で凛々しさが増したり、歌に力強さが出ていたりと、さらに変化しているのを感じた。「100回の稽古より1回の舞台」とはよく言うが、本番を重ねることで前進しているのが、画面越しでも伝わってくる。
13日におこなわれるライブ配信は、12時公演が「エドガーアングル」、17時公演が「アランアングル」という新たな試み。これまでも作品世界へと自然に引き込む多彩なカメラワークが素晴らしかったが、一族の儀式を隠れて見つめるエドガーの細かな表情や、ホテルでエドガーを探すアランの様子など、さまざまなショットでの発見がありそうだ。
2月17日までは「東京国際フォーラム ホールC」で上演、その後23〜28日に名古屋「御園座」でも上演され、大千秋楽の模様は、ライブ配信のほか国内外の映画館でライブ・ビューイングもされる。配信でこれほどひとつの公演を追いかけられるのは、コロナ禍での思いがけない産物といえるだろう。
薔薇に囲まれた館、シャンデリアが輝くホテル・・・さまざまな場面が次々と展開するなか、恐怖に対峙したときの人間の性(さが)や、バンパネラの葛藤と切ない愛が浮かび上がる。壮大な音楽に飲み込まれるようなゴシック調の豪華な舞台は、テーマパークにまぎれ込んだような没入感があり、その世界観とメッセージ性で世代を問わず惹きつける(脚本・演出は小池修一郎)。

画面で観ると、ポーツネル男爵(小西遼生)の慟哭を抑えて愛を告げる力強い瞳、シーラ(夢咲ねね)のまさに脈がないような白肌と妖艶さ、メリーベル(綺咲愛里)のすべてを悟ったときの儚い表情などが、さらに深く迫ってくる。
アンサンブルの演技ひとつにも細かな振付がついている繊細さが、端々から感じられるクリスタルのような美しい舞台。コロナ禍で大変な努力のもと迎える大千秋楽は、どれほどの熱量が画面から伝わってくるのか。待ち遠しい人は多いはずだ。
ライブ配信は2月13日12時公演と17時公演、28日12時公演にて実施。料金は各4500円(「Go To イベント」適用で3600円)。国内ライブ・ビューイングは28日12時公演、料金は5500円。詳細は公式サイトへ。
文/小野寺亜紀
ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』
●ライブ配信
日時:2021年2月13日(土)12時開演(エドガーアングルバージョン)、2月13日(土)17時開演(アランアングルバージョン)、2月28日(日)12時開演
料金:4500円(「Go To イベント」適用で3600円)、公演パンフレット(2000円)の郵送サービス付きチケット6500円(数量限定。「Go To イベント」適用で5200円)
●国内ライブ・ビューイング
日時:2021年2月28日(日)12時開演
会場:全国各地の映画館60館
料金:5500円
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