佐野元春、大阪でデビュー40周年記念ライブ「一緒に過ごそう」

2021.3.3 17:45

佐野元春&THE COYOTE GRAND ROCKESTRA

(写真1枚)

シンガーソングライター・佐野元春のデビュー40周年を記念したライブ『ヤァ! 40年目の城ホール』が、4月4日に「大阪城ホール」(大阪市中央区)で開催される。

1980年にシングル『アンジェリーナ』でデビュー。1982年のアルバム『SOMEDAY』がスマッシュヒットを記録し、トップアーティストの仲間入りを果たした佐野。

現代のビートニク(50年代カウンターカルチャーの最先端をいった若者たちの文化)さながら思慮深いメッセージを内包した詞世界、ラップやスポークン・ワードを独自に昇華した歌唱スタイル、さまざまなジャンルの音楽をミクスチャーした斬新かつポップなサウンドメイキングは、従来の「日本のロック」にはなかった革命的なもの。

彼が生み出した『Young Bloods』『CHRISTMAS TIME IN BLUE −聖なる夜に口笛吹いて−』『約束の橋』『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』といった名曲群は、今も色あせないフレッシュさを宿している。

人々を夢中にさせたのは、そんな音楽のカッコよさだけではない。なにより、佐野元春という人自身が最高にカッコイイのだ。『SOMEDAY』による元春ブームの渦中の1983年に単身渡米。ニューヨークでクラブミュージシャンや前衛アーティストらと交遊関係を築き、帰国後には日本のラップの先駆ともいえる実験作『VISITORS』をリリースした。

1997年にはウッドストックの納屋を改造した小屋に住み込み、ジョン・サイモンやザ・バンドのメンバーと共にアルバム『Barn』をレコーディングするなど、常に新たなインスピレーションを求めて、世界を放浪しながら音楽を作るボヘミアン的スタンス。

80年代中旬の時点で自身のプライベートレーベル『M’s Factory』や責任編集の雑誌『THIS』を立ち上げ、2003年以降は原盤制作・管理をおこなう自主レーベル『Daisy Music』を設立。1999年には国内初の有料インターネットライブをおこなうなど、時代に則した自由な表現を追求・実践してゆくインディペンデント精神に、「ロックとは単なる音楽ではなく、生き方であり、世界との対峙の仕方なのだ」と学んだ人は少なくないだろう。

「門は開けっぱなしにしておくよ 一緒に過ごそう」

今回の公演にあたり、佐野元春は『緊急事態宣言』と題した、以下の文を発信している。

「無闇に恐れないで 無駄に油断しないで いつものフローで行こう 記念ではなく 祝祭でもなく 唄う理由を知るための まぎれもない証 今ここに迎えた40年ではあるが 今ここで舞台に立てることに感謝  直の場 仮想ではなく現実の場 リアルな場、本物の場 君に会えるのは これで最後になるのだろうか そうであっても そうでなくても 明日は来る ここにささやかな場を 仲間たちに捧げたい 守って、祈って 準備ができたら知らせてほしい 門は開けっぱなしにしておくよ 一緒に過ごそう」

どれだけビッグネームになろうとも、個対個としてリスナーと対峙し、連帯を呼びかける真摯さこそ、彼の音楽が世代や趣味嗜好を超えて、人の心を動かす理由ではないだろうか。

40年という長い旅のなかで、相棒となるバッキングバンドの解散・結成を重ね、若い世代のアーティストと積極的にコラボレーションをおこなうなど、常に新陳代謝を繰りかえしてきた彼。

今回は、深沼元昭(Gt)、藤田顕(Gt)、渡辺シュンスケ(Key)、小松シゲル(Dr)、高桑圭(Ba)に加えて、大井スパム(Per)、Dr.kyOn(Key)、ブラスセクションに山本拓夫からなる「THE COYOTE GRAND ROCKESTRA」とともに、数々のオールタイムヒットから最新の重要曲まで、40周年に相応しいセットリストでステージにのぞむ。

また、今回のコンサートの収益の一部は、コロナ禍の逼迫する最前線において、治療や感染予防に懸命に対応されている医療従事者の方々への支援金として役立てることが発表されている。 コロナ禍に開かれる、歴史的なワンナイト・スタンドの証言者となろう。

日時は4月4日・17時開演。料金は40周年記念Tシャツ付きが15000円、チケットのみが11000円で、先行受付が3月3日・23時59分までおこなわれている。

文/井口啓子

『佐野元春&THE COYOTE GRAND ROCKESTRA ヤァ!40年目の城ホール』

日時:2021年4月4日(日)・17:00〜
会場:大阪城ホール
料金:40周年記念Tシャツ付き15000円、チケットのみ11000円(全席指定)
※3歳未満入場不可、6歳以上チケット必要

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