国宝・重文の仏教美術を通して、「戒律」の発展をたどる

2021.3.23 06:15

国宝 法然上人絵伝 巻十(部分) 鎌倉時代(14世紀)、京都・知恩院、後期展示

(写真5枚)

日本仏教における「戒律」の歩みをテーマにした展覧会『鑑真和上と戒律のあゆみ』が、3月27日より「京都国立博物館」(京都市東山区)で開催される。

戒律とは、僧俗の守るべき倫理基準(戒)と、僧侶のあるべき姿(律)を示したもの。日本に戒律をもたらしたのは、奈良時代に唐から来日した鑑真だ。彼は東大寺に戒壇を整備し、唐招提寺を拠点に律の教えを日本に定着させた。

平安時代には最澄と空海が戒律を継承・発展させ、最澄の思想は鎌倉時代の法然、親鸞、日蓮に受け継がれる。鎌倉時代は戒律運動の最盛期となり、覚盛、叡尊、凝然が活躍。近世には明忍や慈雲などが大きな役割を果たした。
 
本展では、天平時代の優れた写実表現として知られる国宝『鑑真和上坐像』をはじめとする、国宝や重要文化財も多数展覧。『興正菩薩(叡尊)坐像』の彫像や、鑑真の来日を描いた『東征伝絵巻』、法然生涯を綴った絵巻物『法然上人絵伝』、名僧の肖像画、仏具などの仏教美術の名品を通して、戒律の発展と変遷をたどる。また、現代の彫刻家・薮内佐斗司が制作した『凝然国師坐像』が特別出品されるのも要注目だ。期間は3月27日から5月16日まで、一般1800円。
 
文/小吹隆文(美術ライター)

『鑑真和上と戒律のあゆみ』

日時:2021年3月27日(土)~5月16日(日) ※前期~4月16日(日)、後期4月18日(火)~、月(5月3日(月・祝)は開館)・5月6日(木)休館
時間:10:00~17:00 ※入館は16:30まで
会場:京都国立博物館(京都市東山区茶屋町527)
料金:一般1800円、大学生1200円、高校生700円、中学生以下無料 
電話:075-525-2473

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