江戸時代の大坂で名を馳せた、絵師「森派」の繊細な動物画

2021.3.26 06:15

猿猴図部分 森狙仙筆 中井竹山賛 天明7年(1787)賛 大阪歴史博物館蔵

(写真5枚)

江戸時代の大坂で、動物画の名手として活躍した絵師・森狙仙(1747?~1821)。彼と2人の兄、次世代など、動物画を数多く描き「森派」と呼ばれた一派の業績を紹介する展覧会が、「大阪歴史博物館」(大阪市中央区)で開催される。

森狙仙が最も得意だったのは猿の絵で、「猿描き狙仙」と異名をとるほどだった。彼の代表作の一つ『猿猴図』を見てみよう。極細の線で猿の毛を一本一本描いており、獣毛の柔らかさを見事に表現している。高い評価を受けるのも納得だ。

彼の兄・陽信と周峰も当時は著名な画家で、狩野派の描法を受け継ぎながらも、時には笑いを誘う愉快な作品も手掛けている。彼らの次世代である森徹山、一鳳も大坂を拠点に活躍した。
 
森派以外の作品では、蛙が大好きでユーモラスな蛙の絵で知られる松本奉時、戯画を得意とした耳鳥斎、虎を得意とした岸派、戦国大名・土岐氏の末裔で鷹図を描いた土岐頼高も出展しており、上方の動物画約50点を見ることができる。

2020年2月に開催しながら、新型コロナの影響により3日間で休止・閉幕となった『猿描き狙仙三兄弟』展をもとに再構成した本展。昨年に見た人、見損ねた人、どちらも満足できる仕上がりだ。期間は4月3日から5月17日まで、一般600円。
 
文/小吹隆文(美術ライター)
 

『動物絵画はお家芸-大坂・森派の絵描きたち-』

日時:【4月25日〜5月11日休止】2021年4月3日(土)~5月17日(月)、火曜休 ※5/4(火)開館、5/6(木)休館
時間:9:30~17:00 ※入館は16:30まで
会場:大阪歴史博物館(大阪市中央区大手前4-1-32)
料金:一般600円、大高生400円、中学生以下無料
電話:06-6946-5728

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