スペインの巨匠が日本初の大規模個展、圧倒的な美術を体感

2021.3.31 06:15

ミケル・バルセロ《恐れと震え》2018 年 作家蔵 (C) ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 Photo by Galerie Bruno Bischofberger

(写真9枚)

スペイン現代美術界を代表する巨匠ミケル・バルセロ(1957~)の、日本初の大規模個展が「国立国際美術館」(大阪市北区)で開催されている。絵画、陶芸、ブロンズ、パフォーマンス映像など93点で構成されており、彼の仕事を一望できる絶好のチャンスだ。

バルセロは1982年にドイツ・カッセルの「ドクメンタ7」で国際的なデビューを果たし、以後世界を舞台に華々しい活動を続けている。故郷のマジョルカ島をはじめ、パリ、アフリカ、アジアなど世界各地で制作をおこなっており、マジョルカ島のパルマ大聖堂内礼拝堂や、スイス・ジュネーヴの国連本部の天井画など、壮大なプロジェクトを成功させてきた。

本展は自然風景を描いた大型の絵画、バルセロならではの視点で形をとらえたブロンズ彫刻やダイナミックな造形のセラミック作品など、大まかにジャンルごとで作品を並べ、バルセロの芸術世界を余すことなく堪能できる展示構成となっている。
 
彼の作品を見て驚かされるのは、その巨大さだ。同時に、物質感を前面に押し出した荒々しい質感にも目を奪われる。人跡未踏の荒野に投げ出された感覚とでも言えば良いだろうか、圧倒的な何かに触れたときの、畏れ、おののき、興奮、期待など、さまざまな感情が脳内を駆け巡るのだ。

広報の冬木明里さんは、「バルセロは、絵具から自身で手作りしています。米粒や豆といった植物なども混ぜ込んで絵具を作ることもあり、表面に凹凸がある絵画作品もあるんです。実際に作品と向き合わないとわからない面白さがバルセロの作品には詰まっているので、ぜひこの機会に足を運んでいただけたら」と話す。

この感動は、直に作品を見なければ伝わらないだろう。自身の感受性を根本から揺さぶられるような、圧倒的美術体験を求めている人に、本展をおすすめしたい。

取材・文/小吹隆文(美術ライター)

『ミケル・バルセロ展』

日時:【4月25日〜5月11日休止】2021年3月20日(土)~5月30日(日) 月曜休 ※5/3(月・祝)は開館
時間:10:00~17:00(金・土曜~20:00) ※入場は閉館30分前まで
会場:国立国際美術館(大阪府大阪市北区中之島4-2-55)
料金:一般1200円、大学生700円、高校生以下無料
電話:06-6447-4680

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