緊急事態宣言を要請せず独自対応の奈良県、医療体制の状況は

2021.5.1 07:15

近鉄奈良駅周辺の様子(2021年4月27日撮影)

(写真3枚)

4月27日に県独自の「緊急対処措置」を発表した奈良県。ひっ迫した状況を脱するためさまざまな医療提供体制を整え、急増する入院待機者や自宅療養者への対応に追われている。

県は、第1波から第3波までの新型コロナウイルス陽性判明者が2日以内にほぼ入院・入所できていたものの、4月1日以降は第4波の感染者急増で入院・入所待機者や自宅療養者が増加したと発表。4月1日~23日までの陽性者で、3日以上待機して入院・入所した人は全体の22.4%にあたる409人、自宅療養者は18.8%の343名となった。

そのため、要請前は376床用意されていた県内の新型コロナウイルス入院病床は、4月26日に13床増え389床となり、今後428床まで増床予定だ。また32床ある重症対応病床のうち、26日時点で20床は使用中というひっ迫した状況から、重症対応病床の増加にもさらに注力するという。

ホテルと協力した宿泊療養施設も4月23日から「グランヴィリオホテル奈良―和蔵―」(奈良県天理市)の170室が新たに運用を始め、合計406室に。新たな宿泊療養施設の約140室も確保しており、5月中旬の運用開始に向け準備中だ。

さらに、入院・入所待機中や自宅療養中の急な体調悪化の際に備え、臨時の応急医療施設として「救急受入施設」の設置も検討中。またワクチン接種に関して、特設会場での接種を計画している市町村のなかには医師や看護師が不足していることを受け、薬剤師も接種できるよう国に制度改正を求める要望を提出している。

これに関して荒井知事は、「アメリカやイギリスなどの事例を踏まえて、日本でも薬剤師が打てたほうがよい」と、27日におこなわれた議会で発言。同意見は、全国知事会の国への要望にも取り入れられている。

取材・文・写真/いずみゆか

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