「架空の喫茶店」マッチが話題、作ったのはMBSアナウンサー

2021.6.14 13:15

福島暢啓アナウンサーがデザインした「架空の喫茶店のマッチ」

(写真4枚)

「近ごろ時間があると、『架空の喫茶店』のマッチを作っている」と、なんだか懐かしさを感じるイラストとともに投稿されたツイートが話題に。この投稿主はMBS(毎日放送)の福島暢啓アナウンサーだ。

フォントもイラストも福島アナウンサーのオリジナル

冷暖房完備の港が見えるティールーム「ポラッカ」や、名曲喫茶「モントルー」、名画と珈琲の「喫茶 ササイ」など、福島アナウンサー自らが考えてデザインした「架空の喫茶店のマッチ」。SNSでは「どこかに存在してそうなリアルさが素敵」「センスがすごい」と称賛する声とともに、「この喫茶店はきっとカレーがおいしい」「1時間経つと昆布茶を出してくれそう」など、実際にはないお店に思いを馳せる声も多く、リプ欄では会話が生まれている。

このマッチについて、アナウンサーの仕事とはまったく関係なく、デザインソフトの練習がてら趣味で作ったという福島アナウンサー。約20年にわたって集めているという大量の図案や文献から得たインスピレーションをもとに、ラフはほとんど描かず一気に作り上げるという。

デザインはもちろん、イラストもフォントもすべて福島アナウンサーのオリジナルだ。特に文字にはかなりこだわりを持っていて、「最近のカフェやレストラン、居酒屋ってどこも一緒なんですよね。既成のフォントを使って大差がないというか、フォントを何も考えずに使っている看板とかを見ると悲しくなっちゃって・・・」と、日々のモヤモヤを明かす。

福島アナウンサーの興味は、喫茶店にまつわるストーリー

文字や色合い、配置に至るまで徹底したこだわりを持つ福島アナウンサー。「よほど喫茶店が好きなのだろうな」と思いきや、実は珈琲があまり飲めないそうで、喫茶店に頻繁に通っているわけでもないという。福島アナウンサーが好きなのは、その店にまつわるストーリーだ。

「仕事で47都道府県いろんな場所に訪れて、お店の人にインタビューをすることも多いのですが、その人の営み・人生が看板や内装に出るのがおもしろいなと思って。そういうものの再現ができたらと思って作り始めました。そのもの自体がなぜそういう雰囲気を纏っているのか、私はそれが成立した背景や、そのストーリーに興味があるんだと思います」と、きっかけを話す。

右下が1番始めに作ったという「喫茶 南国」

最初に作った架空のマッチは「喫茶 南国」。「店名から考えることが多いですね。そのあと、高知県出身のマスターがやってて、本当は南国市から来たんだけど、お客さんからはハワイのイメージで勝手に解釈されていて、とか。そして高知県から集団就職で関西の方に来て、最初は大きい機械系の会社で働いてたけど30代半ばくらいで辞めて・・・みたいな設定を考える。意味はないんですけどね(笑)」と、それはもはや想像を超えたノンフィクションの世界だ。

店名や住所はあくまで架空のため、そこに最も時間をかけるそうで、「住所はまず街の成り立ちから考えるんです。ここの喫茶店は城下町にあるんだけど、中心部か外れにあるのかどっちだろう、中心部だとしたら駅の近くにないとお店は繁盛しないだろうから、路線バスがどう走ってるかなど・・・時間がかかるけど、それが楽しいんですよね」。

昨今の「レトロブーム」に思うこと

1987年生まれの福島アナウンサー。昭和ギリギリに生まれた世代だが、これまでも自身のラジオ『福島のぶひろの金曜でいいんじゃない?』(毎週金曜・昼3時30分〜)で昭和歌謡について熱く語ったり、情報番組『よんチャンTV』(毎週月〜金・昼3時40分〜)では京都の店先にかかる「のれん」にまつわる物語を探るコーナー(月曜)を担当するなど、古いモノ好きとして知られている。福島アナウンサーが愛してやまない「古きモノ」だが、昨今の昭和レトロブームには少し違和感を感じているという。

「架空の喫茶店のマッチ」を持つ福島暢啓アナウンサー

「レトロってあくまで今の視点ですよね。『レトロかわいい』となると、かわいいが優先されて当時の人の思いがおざなりになるというか・・・。奥にあるものが軽視されているような感じがして。私は何をするにおいてもその『時代性』を大切にしていて、良い面も悪い面も再現したいんです。だからレトロってすべて一括りになっているデザインを見ると腹が立っちゃって(笑)。これは戦前しかないだろうってデザインに、昭和50年代くらいのイラストが入っていたりすると、なにをしてるんだ!と思うんです」。

そんな現代のレトロブームを当てこすった裏テーマのマッチデザインも。福島アナウンサーは「『アトリヱ』とか『こばと』は、当時に憧れている人が『らしく』作った店という設定で作りました。だからあえて既存のレトロ系のフォントを使ったり、角にあえてアール(丸み)を付けてみたりしてます。居抜き物件でやっているイメージです」と笑う。

「今後もその当時らしさや時代性を再現して、見る人を騙したい。当時にタイムスリップしてもらえるよう、遊びで真剣に『架空喫茶店のマッチ』を作っていくつもりです」と福島アナウンサー。

ちなみにこの記事にある架空マッチの写真、取材のあとに福島アナウンサーから届いたのだが、ツイートのデザイン画が見事にフィギュア化されていた。この遊び心でこれからも私たちを楽しませてくれるに違いない。

MBS・福島暢啓アナウンサー出演番組

MBSテレビ
『土曜のよんチャンTV』MC
放送:毎週土曜・13:54〜

『よんチャンTV』月曜コーナー「京都のれん探偵」
放送:毎週月〜金曜・15:40〜

MBSラジオ『福島のぶひろの金曜でいいんじゃない?』パーソナリティ
放送:毎週金曜・15:30〜

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