京都の宿でコスプレ撮影を、コロナ禍で生まれた新サービス

2021.6.27 07:15

期間限定で空間作品『トコヨノモリ』(作・竹内良亮)とのコラボ企画を実施中。写真は撮影の様子 model:yukina  photo:竹内良亮

(写真10枚)

レトロな宿で、記念写真やコスプレ撮影を存分に楽しめるー。そんな新たな宿泊施設の利用法を、京都で実施中のプロジェクト「宿撮(やどさつ)」。幻想的な特設された作品で撮影できる期間限定プランもあり、SNSを中心に「利用したい」などの声が寄せられている。

■コスプレの苦労から生まれた、「お宿」で「撮影する」案

2020年4月に始動した「宿撮」は、1棟貸し切りの「映える」宿に泊まり、同時に撮影もできる場所を紹介・案内するプロジェクト。現在は京都市内の20軒以上の宿が登録するサイトは、「宿撮」プロデューサー・yukina(平原由樹那)さんと「空き家バンク京都」(京都市南区)が運営している。

かつて町家の撮影スタジオ経営に携わり、また自身も16年以上コスプレ撮影を楽しんでいる平原さん。「自分で責任を持って宿に詳細を説明し、ご理解を得てから撮影させてもらう。そうすると、やり取りに時間がかかってしまう。宿側がコスプレ撮影OKと公言していれば、スムーズに利用できると思ったんです」と、プロジェクトの経緯を話す。

「空き家バンク京都」代表・鈴木一輝さんとの出会いで、築100年以上の宿などの存在を知り、「撮影に活かせそう」と思いついたそう。コロナ禍の第1波の時期とも重なり、「京都の観光業は力を失っていく状況も容易に考えられました。和が大好きなので、歴史ある宿やゲストハウスがなくなる事態をどうにかできないか」と企画を立ち上げた。

「宿撮」では宿泊&撮影が一度に楽しめる。写真は「忍 稲荷邸」の内観。映像制作や作品撮影でも利用可

■寺撮や廃撮、空間作品『トコヨノモリ』とのコラボも

宿で撮影するだけではなく、寺や森で撮影できるプランも展開し、なかでも「空き家バンク京都」が取り扱う和風の廃墟での「廃撮」も好評だったという。さらに現在は、舞台美術家・竹内良亮さんが作った異空間作品『トコヨノモリ』で撮影できる期間限定コラボ企画を実施中だ(〜8月末までの予定)。

左京区のビル内に作られた同作品は、竹内さんが見た悪夢の中で「さまよった森」を元に製作されたもの。プロの照明家によるライティング設置で、幻想的な雰囲気を演出でき、5月の受け付け開始以来、10件以上の予約が入っており、着物、ソーシャルゲームのファンタジーなキャラや衣装のほか、ドール撮影での利用も。

SNSでは「蛍光灯じゃなくて舞台照明、めちゃくちゃ楽しかった」と撮影した人の声や、「こんなところで撮りたい」「だれか一緒に行かない?」といった声も。

空間作品『トコヨノモリ』(C)竹内良亮 ※コラボプランではロースモーク(演出用の煙)を無料提供

コロナ禍のなか、平原さんは「これまで『宿撮』では、空間を楽しむために、誕生日会、鑑賞会、執筆場所としてのご利用もありました。多くのことを自粛する状況だからこそ、全力の娯楽が生きる糧になっている方もいると思います。徹底して予防対策をし、『宿撮』ならではの企画や撮影場所のアプローチをしていきたいです」と意気込む。

『トコヨノモリ』撮影は朝10時~夜9時内の3時間35000円、17棟の宿から選択する「宿撮」との宿泊セットプランになる(別途宿泊料)。「宿撮」利用は(1棟)1日1組のみ、いずれも要予約。今後のコラボ期間や利用条件など、詳細は公式サイトにて。

取材・文/塩屋薫

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