石井裕也監督、韓国で撮影した作品で「ぶっ壊せた」

映画『アジアの天使』を手がけた石井裕也監督
「みんなで映画づくりを楽しもうとする心と姿勢」
──ただ石井監督の著書『映画演出・個人的研究課題』(2020年)を読むと、今作の天使の存在や意味などが韓国スタッフにはなかなか通じなかったそうですね。
スタッフではなく、最初のプロデューサーです。「今の時代は起こるはずのないことが起こる。天使はそのひとつの象徴でもあるんです」と説明しても、「意味が分からない」という返事でした。でもそもそも僕は前例のない映画を作ろうとしていたわけなので。
──韓国スタッフとは言葉をはじめとするコミュニケーションがうまくいかず、石井監督がやりたいことのニュアンスがなかなか伝わらなかった、と著書にも書いていました。
韓国で映画を作るにあたり、「きっといろんなものが今までとは違うだろう」とあらかじめ想定はできていました。自分の経験、慣れているやり方が使えないだろうと。撮影はものすごく楽しかったんですが、想像以上にやっぱり大変でした。そうやって苦闘する様子は、登場人物の剛やソルたちの姿にも重なりますね。
──この映画の登場人物たちも、異文化で育ったこと、日本と韓国の歴史観などが影響し、互いの言葉や考え方になかなか耳を傾けません。
登場人物たちはディスコミュニケーションを繰り返します。ただ、それは言葉による問題だけではなく、それぞれの家族間や兄妹間でも心が通じ合っていません。この映画では、初めて意思の疎通がとれたときの喜びの大きさを描きたかった。それって原始的な人間の喜びでもあると思う。剛とソルにも、「思っていることがようやく通じてうれしい」という瞬間が訪れます。

──一方で、ガソリンスタンドでトラブルが起きる場面では「相手が聞く耳を持たなければ、そもそもどんな言葉であっても届かない」という虚しさが表現されていいますね。
その通りです。言葉って確かに大切なものですが、それを使う人間の態度こそがより重要です。実は今作の韓国人のカメラマンが、昔どこかで読んだ日本の漫画の「最後まで」という台詞をずっと覚えていました。撮影中に、大変なときこそ彼は「最後まで」と言うんです。で、みんなでケラケラと笑い、それが励みになっていました。彼が喋れる日本語は「最後まで」だけです。しかも僕はその漫画のことを知りません。
でも、それだけでコミュニケーションが取れるんです。で、映画を撮りきった。やっぱり重要なのは「映画づくりを楽しもうとする心と姿勢」なんですよね。それさえ共有していれば、映画は撮れる。
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