大阪で開幕、宝塚OGと轟悠が寺田瀧雄の名曲を想い込めて披露

2021.6.27 10:45

コンサートの最後に出演者29人が勢ぞろいし、寺田氏作曲の「さよならタカラヅカ」を歌って手を振ると、観客も同じように手を振りかえし温かい空間となった。撮影:岸隆子(Studio Elenish)

(写真2枚)

豪華な顔ぶれの宝塚歌劇団卒業生と、現役の専科・轟悠が、オーケストラの生演奏をバックに、寺田瀧雄氏のドラマティックな名曲を歌い上げる。『寺田瀧雄 没後20年メモリアルコンサート All His Dreams“愛”』が、6月26日に「梅田芸術劇場メインホール」(大阪市北区)で開幕した。

1956年の入団以来、寺田氏が手掛けた楽曲は芝居からショー作品まで約3000曲にのぼる。そのなかから厳選されたセットリストは、まさにそれぞれのスターを代表する曲の連続。メドレー的な流れではなくじっくりと聴かせる充実のコンサートで、その世界観の濃さに圧倒された。

昭和の『ベルサイユのばら』を率い「ベルばら四強」とも呼ばれた榛名由梨、鳳蘭、汀夏子、安奈淳が、久々にそろい踏み。美しいハーモニーで同作の「愛あればこそ」を披露すると、ひと際大きな拍手が起こる。寺田氏との思い出を語り合う場面では、名作曲家の温かい人柄がうかがえるエピソードも飛び出した。

また、初日の1幕ラストを飾ったのが、故大浦みずきが主演したショー『ジャンクション24』の「Dance With Me」。大浦と同期の剣幸、1991年当時の花組公演に出演していた安寿ミラ、真琴つばさがパワフルに歌い、朝海ひかるたちが白いコートを翻して踊るという、粋で感動的な演出が見られた。

2幕冒頭には、10月1日付での退団を発表している轟悠がボルドー色の衣裳で、寺田氏の遺作となった『凱旋門』より「金色の雨」と、「雨の凱旋門」を相手役だった月影瞳としっとりと歌唱(轟は大阪公演のみ出演)。舞台上で、「愛のメロディメーカー、寺田瀧雄先生の最後の楽曲となった忘れがたい思い出の曲を歌わせていただきました」と、しみじみ語った。

ほかにも初日には、瀬戸内美八、髙汐巴、寿ひずる、平みち、日向薫、杜けあき、涼風真世、麻路さき、白城あやか、湖月わたるらが出演し、懐かしいショー作品や植田紳爾氏、柴田侑宏氏の作品の楽曲を、ときに芝居もまじえながら聴かせる(出演者と楽曲は回替わり)。

タクトを握ったのは、寺田氏の愛弟子である吉田優子(吉は最初の3画が土が正式表記)。その後ろ姿に寺田氏の姿が重なって見えるような渾身の指揮で、イントロから引き込む数々の美しい旋律を紡いだ。

最後に鳳蘭が、「寺田瀧雄先生と同じ時代に生まれ、先生の曲をたくさん歌わせていただいたことは、このうえない幸せです。先生の楽曲が永遠に歌い継がれますように!」と挨拶し、「宝塚のモーツァルト」と謳われた寺田氏の偉業を称えた。

同コンサートは「梅田芸術劇場メインホール」にて27日まで。その後、「Bunkamura オーチャードホール」にて7月1日~2日におこなわれる。チケットはS席12000円ほか。

取材・文/小野寺亜紀 

『寺田瀧雄 没後20年メモリアルコンサート All His Dreams“愛”』

日程:2021年6月26日(土)~27日(日)
会場:梅田芸術劇場メインホール(大阪市北区茶屋町19-1)
料金:S席12000円、A席8000円、B席5000円

日程:7月1日(木)~2日(金)
会場:Bunkamura オーチャードホール
料金:S席12,000円、A席8,000円、B席5,000円

電話:0570-077-039(梅田芸術劇場)

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