祇園祭で約200年ぶりの復活に向けて、「鷹山」が準備

2021.7.18 07:15

「星のや京都」で開催された『京のお囃子舟』。屋形舟の上から、2022年に曳山に復活する「鷹山」のお囃子を聴く趣向。舟の上にも囃子方が1名乗船して、臨場感たっぷり

(写真8枚)

1000年以上の歴史ある『祇園祭』は今年、2年連続で山鉾巡行の中止が決まったが、34のうち17の保存会が鉾(ほこ)を組み立てる鉾建てを1年ぶりにおこなっている。その空白はたった1年でも寂しいものだが、なんと196年の空白を経て、2022年に再び山鉾巡業に姿を現そうとしている山鉾がある。それが衣棚町の「鷹山(たかやま)」だ。

鷹山は、応仁の乱以前から巡行していた由緒ある曳山(ひきやま・巡業に加わる山鉾のこと)で、鷹狩り姿の御神体人形を乗せた壮麗な姿が江戸時代の絵画に記録されている。幕末の大火で消失してしまってから、“休み山“となっていたが、御神体をお飾りする居祭(いまつり)は続けられてきた。

その鷹山が、2022年の後祭(あとまつり)での巡行を目指し、曳山の再建、お囃子の稽古などの準備を着々と進めている。曳山を復活させるという気運の高まりをリードしてきたのは、10歳まで鉾町で育った鷹山保存会の理事長・山田純司さん。「これまで、曳山の復活はいくつか例があって、昭和に菊水鉾が、平成に大船鉾が、そして令和が、鷹山になります」と、つまり、一時代にひとつあるかないか。曳山復活は、めったにない大事業なのである。

そのために町衆の力が集結し、一般から寄付も募りながら、準備されてきた曳山復活。「2014年に町内の同世代が集まってお囃子の稽古を始め、最初は8人だったのが徐々に増えて、いまでは50人以上います」と人数も増え、鷹山のための新しいお囃子の曲も制作された。

鷹山のちまき、扇子などは今年の21日から23日まで、鷹山保存会で授与される。寄付も受付中。鷹山の歴史的な復活にご参加を!

そのお囃子を、嵐山にある旅館「星のや京都」(京都市西京区)で7月に披露。『京のお囃子舟』と題し、祇園囃子を桟橋にて演奏し、お客が屋形舟の上から楽しむという内容に(7月30・31日にも宿泊客に向けて催される予定)。

梅雨空の夕暮れ、水面が霧でけむる中、舟桟橋で奏でられるコンチキチンのお囃子が渓谷にこだま。祇園囃子が幽玄の世界と溶け合ったかのようだ。かつては、平安貴族たちが風雅を楽しみ、最大の娯楽が舟遊びだったといわれる嵐山で王朝の雅と町衆の祭り、ともに1000年以上の歴史を持つ京文化が、歴史上、初めて出会うコラボレーションとなった。

疫病退散祈願のため始まった祇園祭。さらに鷹山は、文政9年(1826)年の大雨での破損から復活するということも、意義深い。自然災害の脅威が列島を襲う昨今、鷹山には、さらなる人々の期待と祈りが集まるはずだ。8月31日までは、講演会『祇園祭・鷹山の復興~2022年の山鉾巡行に向かって~』をインターネットで動画配信中(有料)。

取材・文・写真/沢田眉香子

「星のや京都」

住所:京都市西京区嵐山元録山町11-2
電話:0570-073-066(8:00〜21:00)

※『京のお囃子舟』
日時:2021年7月2・3・9・10・30・31日・17:30
料金:1組(1〜4名)45980円(宿泊料別・宿泊者のみ)

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