空調のプロ・ダイキンに聞いた、最強のエアコン節電術は?

2021.7.17 17:00

エアコンのカバーを開けたところにあるフィルターの掃除、これが節電の第一歩

(写真7枚)

電気代のムダを省くには、「自動設定」一択!

では、エアコンを運転する際、どんなことに気を付ければいいのか。リモコンには「冷房」「暖房」「ドライ」「風量」など、あらゆるボタンがあるが、野田さんはおすすめの設定は「自動運転」と断言する。

節電にもっとも効果的なのは「自動設定」

それは「エアコンは自ら外気温や室内温度などを見ながら、最適な運転モード、設定温度、風量などを判断して運転します。夏であれば自動で冷房運転になります。設定温度はおおよそ26〜28度ですが、暑ければ自動運転のまま、『-1度』で調整するのがベストです」と説明。一方、設定温度を急激に下げると消費電力が高まるため、NGだとか。

また、帰宅した際、エアコンをつける前に室内に籠った熱気を追い出すことも節電につながるという。夏場の室内温度は外気温よりも高いことが多いため、窓を開けて換気をするだけでエアコンへの負荷が和らぐそうだ。

エアコン室外機と太陽熱の遮断(「ダイキン工業」公式サイトより引用)

そして、ファンの通気性を確保しながら、室外機に日よけを設置するのも効果的。さらに、太陽熱が入る窓の外側には簾(すだれ)を付けて熱を遮断。ダイキンの実証実験によると、「フィルター清掃」「室外機の影」「窓の外に簾」、この3点だけで21.8%も節電効果あったという結果が出たという。

エアコンの風は平行に、扇風機の風向きも重要。

次に大切なのは、エアコンの冷たい空気をいかに循環させるか。まず、エアコンから出る風の風向きルーバーは水平に。扇風機はエアコンの対角線上に置き、上向きに風を送る。

エアコンの風向きルーバーによる効果の違い(「ダイキン工業」公式サイトより引用)

「室内温度のムラを抑えることも、節電につながります」と野田さん。「温かい空気は天井側に、冷たい空気は床側に溜まる性質があります。エアコン内部のセンサーで室温を判断するので、天井側に温かい空気が溜まると、必要以上に運転してしまう場合も。床に滞った冷たい空気を扇風機などで天井側に送ることで室内の温度ムラが抑えられます」と説明。

扇風機とサーキュレーター、どちらがいいか迷う人も多いらしいが、「あまり違いはありません。どちらかというと下に行く空気を循環させることが大切です。最新のエアコンでは、自ら空気を循環させる機能を持っているものもあります」と野田さん。

日中は「つけっぱなし」が基本。長時間の外出時はオフに。

ダイキンでは、エアコンの「つけっぱなし」と「30分ごとにオンオフ」で、消費電力にどう差が出るか調査済み(気温36.5度で設定温度26度、2つ並ぶ同じ大きさの部屋で比較)。結果、気温が上がる日中の消費電力は、エアコンをつけっぱなしにした方が安く抑えられることが分かったという。

エアコンの消費電力量の違い、赤線がつけっぱなし、青線が30分ごとにオンオフ(「ダイキン工業」公式サイトより引用)

ただ、これは日中だけの話。涼しくなる夜の時間帯(18時から23時)や長時間出かけたりする場合は、切ったほうがいい。外出時のオンオフの目安は日中であれば35分以内、夕方から夜間であれば18分以内ならつけっぱなしのほうが消費電力が低い。

では、1時間くらいの微妙な外出の場合はどうするか? 野田さんは、「私でしたら、子どもやお年寄りがいる場合、来客がある場合などは、帰宅時の快適性を考えてつけっぱなしにして出かけると思います」とのこと。そういった判断基準も参考にしたいところだ。

取材・文/岡田由佳子

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