品川ヒロシ、6年ぶりの監督作は「自分が励まされる映画に」
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メガホンを取った品川ヒロシ監督(左)と、主演女優・EMILY
「何だってとにかくやり続けるしかない」(品川ヒロシ)
──あのシーンで感じたことは、夢や目標と向き合うことの怖さ。やりたいことといざ向き合うと、自分の能力のなさを知ってしまうかもしれない。だったら向き合わない方が良い場合もある。未央は東京で歌手になりたかったけど、自分の才能のなさを知るのが怖いから、夢を遠ざけて生きていたんじゃないかなって。
品川:若いときって無邪気じゃないですか。子どもの頃は漠然と「社長になる」「YouTuberになって何億稼ぐ」とか考えたりするけど、現実はそうはいかない。未央も18歳のとき「東京へ行ってビッグになる」と地元を出て行くけど、結局10年のあいだ、東京で揉まれる。上京したてのときはライブハウスや路上で歌っていたかもしれないけど、いつの間にか地下アイドルという別の道に就くことになった。そのあたりは映画では詳しく描いていませんが、そういう背景を想像して映画を観てもらうと、後半の未央の歌がもっと刺さるんじゃないかなって。
──品川さんはお笑い芸人、映画監督など多才ですが、自分の才能と向き合うことに怖さを感じたことはありますか。
品川:僕はそれが全然ないんです。たとえば、「脚本書きたいのでコツを教えてください」とよく質問されるんですけど、「コツもなにも、書き切ることが重要だ」と答えますね。そういう質問をする人たちって、脚本を書きたいけど書かない。他人に「つまんない」と言われるのはまだ耐えられるけど、自分で「つまんない、才能ない」と気づいちゃうのが怖いから。だからみんな最後まで書かない。自分の才能のなさに直面したうえで、何だってとにかくやり続けるしかないのに。
EMILY:本当にそうですよね。私も、とにかく目の前のことをひたすらやっていくタイプ。この映画に関しては、自分のお芝居と向き合う余裕もなかったくらいでした。とにかく監督からオッケーが出るまでガムシャラにやろうと。
ミュージシャンとしても(才能と向き合うことの怖さは)多々ありますし、「私は才能がないんじゃないか」と悩んだこともありました。だけど、「私ほど格好良い人間なんていないだろう」と信じ込んだりして、最後までやり切るようにしています。
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──ほかにも、「自分なんて死ねば良い」と話す未央に対して、大輝が「死ぬ気もないのに死ぬとか言うな」と返す。これも品川監督の各作品に通底しているメッセージではないでしょうか。『ドロップ』の「人は簡単に死なない」だったり、『Zアイランド』でも死者がゾンビ化することで「簡単には死なない」ということを表現しています。品川作品は「死」の捉え方が非常に重要になってきます。
品川:これは『ドロップ』のもとになった話ですが、僕が慕っていた姉の恋人が亡くなったことが影響しているかもしれません。姉ちゃんに「結婚しよう」とプロポーズした翌日に亡くなってしまって。「生きたい」と願ってもそれができなかった人がいる。だからどうしても「死にたい」という人の言葉に引っかかってしまう。
──でも「死にたい」という人に対して、大輝のように「死ぬ気もないのに死ぬとか言うな」とはなかなか言えませんよね。
品川:大輝の言葉はものすごく突き放したやさしさだと考えています。僕だったら「死にたい」という人に、「死ぬことなんてできないくせに、死にたいとか言うな」なんて絶対に言えない。でも、生命力あふれる北海道の大自然のなかで、天然な人間である大輝がそれを言えば説得力が増すんじゃないかなって。環境とキャラクター設定がそうさせた場面です。
──あらためて本当にすごいシーンでした。
品川:この映画はあの川のシーンをまず撮りたかったんです。そこを軸に全体を作っていきました。そうやってこの映画は出来上がりましたが、僕自身、観たら励まされるものになっています。ぜひ鑑賞したみなさんも前向きな気持ちになってほしいですね。
◇
映画『リスタート』は全国の劇場で公開中。関西では「大阪ステーションシティシネマ」(大阪市北区)など、4劇場で上映されている。
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