現役大学生・Vaundy「音楽はデザイン的じゃないと」
2019年にリリースされた楽曲『東京フラッシュ』で一躍注目を高め、柔軟なサウンドと非凡なメロディセンスで新世代の旗手的存在となったVaundy(バウンディ)。2020年には『不可幸力』が「Spotify」のCMに起用され話題となり、今年に入ってからも次々と新曲をリリースするなど、着実によりスケールアップした境地を示し続ける彼だが、その進化はまだまだ留まるところを知らない。
作詞・作曲・アレンジはもちろん、映像やデザイン面でもマルチな才を発揮しながら、ポップ・ミュージックの新たな可能性を切り拓くまだ現役大学生で21歳の彼に、これまでの歩みとこれから向かいつつある方向性、音楽的なバックボーンなどについて語ってもらった。
取材・文/吉本秀純
需要と供給を満たそうと作った『東京フラッシュ』
──中学3年生くらいからDTM(デスク・トップ・ミュージック)で楽曲制作をするようになったそうですが、それ以前に楽器などはやっていたのですか?
楽器はやってました。幼少期に1番最初に触ったのはたぶんウクレレで、小学校2年生くらいのときにお母さんがアコギを買ってくれて。でも、弾けなくてすぐに辞めて、中学生になってエレキ・ギターを買って練習したんですけど、それでも全然できなくて、DTMとかを使うようになりました。
その頃から高校2年生の初めくらいまでボーカロイドの「歌い手」をやっていたので、そのおかげでDTMを触れるようになって、録音とそれをミックスする力を手に入れて。あと、パソコンを触っていると絵を描いたり、動画を作ったりと自分でいろいろとやるようになって、今の活動に必要なことを「全部自分でやろう」という姿勢は、その頃からありましたね。
──なるほど。映像なども含めてトータルに制作する姿勢は、すでにその頃から。
そうですね。高校に入ってからも軽音部に所属しながら、バンドサウンドのオリジナル曲もいろいろと作るようになって。高校2年生の7月に「ヴォイス」という音楽塾にも入って、ちゃんと音楽を勉強するようになりながら、美術系大学の受験のためにデザインやデッサンの勉強を始めました。
そのときに需要と供給の満たし方とか、ニーズの汲み取り方とかを考えるようになって、音楽はデザイン的じゃないといけないんだなと気付いたんです。そして、大学1年生のときにVaundyという名前でYouTube投稿をはじめて、2019年6月くらいから徐々に曲をアップしていくようになりました(※ 現在、YouTube・サブスクはトータル9億回再生突破)。
──そして、同じ年の9月末に公開した楽曲『東京フラッシュ』で一気にブレイクして、Vanudyの名前は一気に広く浸透していくことになったわけですが。
実は『東京フラッシュ』という曲は、JーWAVEとかに流してもらおうというコンセプトのもと、初めて需要と供給を満たそうという動きをして作った曲で。じゃあ、流行らなきゃいけないんで「流行って何だ? 」とレコメンド機能を漁って、YouTubeやサブスクから流れ込んでくるものをしっかり聴いて、それを分析して作った曲だったんです。
──そうなんですね。
なので、(再生数が)伸びなきゃ困るという感じだったんですけど、その後に「でも、オレはこういうのが好きなんだよ」という感じで出したのが、次の『不可幸力』で。前曲の再生回数を越えることができたので、そのときの感覚は間違ってなかったんだなと自分のなかで再確認できたんです。
『不可幸力』が『東京フラッシュ』を越えなければ、たぶん今の僕はなかったかもしれないし、そこからまた作曲の仕方がいろいろ変わって、1stアルバムの『strobo』(2020年)に至ったという流れですね。今年になって出した曲や最新の曲もまた違う作り方をしているんですけど、常に進化しながら歩んできた2〜3年間だったなと思います。
──ま、JーWAVEで流れる曲を作ろうと思って、誰でも作れるものじゃないですけどね(笑)。
いやー、最終的に流していただけたので良かったなという。目的達成ですね(笑)。
──ちなみに、そのときに参考にした楽曲やミュージシャンは覚えていますか?
もう2年くらい前のことなので、何を聴いていたのか全然覚えていないですけど。それこそSuchmosとかNulbarichとか。あのときのサウンド感というか、みんなが絶対に気持ちいいと思っている部分も当てていく、みたいな気分でそのときはやってましたけど、今はまたもっと自由に作っています。
Vaundy one man live tour『HINODE』
日程:2021年10月4日(月)・5日(火)
時間:18:30〜
会場:Zepp Osaka Bayside(大阪市此花区桜島1-1-61)
料金:6900円(ドリンク代別途要・全席指定)
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