未曾有の事態に立ち向かう劇場の挑戦「有観客は絶対条件」
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新しくなった「2nd」は5階建てのビルで、2~4階部分が劇場。座席の座り心地から排水管の設置の仕方まで、演劇の作り手と観客のことを、見えない部分まで考えぬいた空間となっている
新型コロナウイルスによる自粛から、少しずつ復活に向けて動き出している関西の小劇場。なかでも、電化製品とオタクの街・日本橋にある「インディペンデントシアター」(大阪市浪速区)は、2019年6月に「1st(ファースト)」、2021年7月に「2nd(セカンド)」と2つの劇場を新築移転し、希望に満ちた話題となった。その背景を伺うべく、両劇場のプロデューサーを務める相内唯史さんに話を訊いた。
「選ばないというスタンスが『選ばれる劇場に』」
約70席の「1st」と、約150席の「2nd」を有している「インディペンデントシアター」。運営元が、特撮・アニメの玩具販売などを手掛ける、演劇とは異業種の企業「ジャングル」という点でも、ユニークな劇場だ。
「1st」は2000年に、自主映画向けのミニシアターとして誕生。しかし稼働率が決して高くなかったため、当時、スタッフのひとりだった相内さんが、交流のある演劇関係者にも利用を呼びかけた結果、「気づいたら完全に劇場になっていた」と言う。

その4年後には、「1st」の次のステップの場として、席数が倍となる「2nd」がオープン。この頃は、関西小劇場界の重要な拠点だった「扇町ミュージアムスクエア」(大阪市北区)が2003年に閉館した反動で、演劇関係者が次々と代わりの施設を立ち上げるという、ちょっとした小劇場開館ラッシュとなっていた。しかしその施設のほとんどは、さまざまな事情で数年後にはバタバタと閉館。「2nd」が継続できた大きな理由のひとつは「利用者を選ばない」ことだった。
「プライドを持って、運営側が利用するカンパニーを選ぶ劇場もありますが、僕らはカンパニーに選ばれる劇場になろうと。スペック面ではほかの劇場に絶対かなわないから、逆に『この自由さがいい』と思ってもらえる劇場にならないと、生き残れないと思ったんです」と、相内さんは当時の心境を語る。
そのなかには当然、「これはちょっと・・・」と思う公演もあったはずだ。それでも結果としては現在、ある程度見ごたえのある公演が、毎月そろったラインアップとなっている。
「こちらが選ばなくても、カンパニーは淘汰されていくので、結果的に自然とラインアップが整っていきました。全国的な知名度が上がっても、うちを選んでくださるカンパニーが多いのはすごくありがたいし、『選ばない』というスタンスは続けていきたいです」。
「閉館も覚悟したのに予想外の結論、劇場を新築」

しかし2年の間に、2つも劇場を建てるとは実に景気がいい・・・と思っていたら、「1st」の移転は「劇場のある建物の売却が、急に決まった」とイレギュラーな事態だったという。代替施設が見つからず、相内さんは閉館も覚悟したそうだが、会社の結論は「じゃあ、新しく建てるか」という予想外のものだった。
「自分たちの意志ではない形で、なにかを失うことに対して『やってられっか!』っていうマインドが、ジャングルにはあるんです。だから今回のように、場所を追い出されたという理由だけで劇場をなくすわけにはいかないと。これまでのご縁から良い土地を紹介されて、今の場所に建設できました」と、今だから語れる当時の状況を明かした。
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「2nd」も同様に新築の5階建てビルで、2~4階部分が劇場。相内さんが毎日のように現場に赴き、現場確認と細かい施工変更を重ねたことで、座席の座り心地から排水管の設置の仕方まで、演劇の作り手と観客のことを見えない部分まで考えぬいた空間となっている。
「建設開始時にちょうど緊急事態宣言が出て、1stはろくに開けない状況。もし通常通りフル稼働していたら、2ndに時間をかけられず、ここまで作り手側に沿った空間にはならなかったかも。精神的にも、2ndを無事に建てることが(稼働できない時期の)心の支えになりましたね」と、逆境をポジティブな方向に変えていたようだ。
ちなみに「1st」も「2nd」も、日本橋以外に目を向ければ、良い物件が少なからずあったという。それでも「日本橋界隈をベースにしてる会社だから、ここを離れるという選択肢はなかった」という強い思いがあり、それを知った周囲の人々が、次々と不動産情報を提供してくれたそうだ。20年間日本橋にこだわって、粘り強く演劇を発信し続けた彼らの姿勢に、地元の人たちが応えてくれたと言えるだろう。
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