型破りな主人公で飛躍、宝塚歌劇団・花組の水美舞斗主演『銀ちゃんの恋』

2021.8.29 08:45

東上公演に初主演の水美舞斗。斬新なセンスの衣裳を着こなし、これまで培った実力と華で新たな魅力を開花させるはず (C)宝塚歌劇団

(写真1枚)

宝塚歌劇ではときに異色の題材がヒットにつながるが、つかこうへい作『蒲田行進曲』を舞台化した『銀ちゃんの恋』もそのひとつ。11年ぶり4度目の上演が決まり、花組の男役スター・水美舞斗(みなみ まいと)が主演。8月24日まで上演された「KAAT神奈川芸術劇場」公演に続き、9月2日からスタートする「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」での千秋楽の9月10日・13時公演が生配信される。

映画撮影所では自分が誰よりもスターだと息巻いている「銀ちゃん」こと倉丘銀四郎は、強がっているかと思えば弱音を吐き、周りが放っておけないような憎めない人物。恋人の小夏が身ごもると、大部屋俳優のヤスに彼女を託し、自分はスター街道を歩んでいこうとするのだが・・・。

自分勝手なようで、人情味にあふれた銀四郎を中心に、「映画愛」の詰まった物語がテンポよく展開する同作。1982年には直木賞、1983年には日本アカデミー最優秀脚本賞を受賞した、つかこうへいの心に突き刺さる言葉の力や、キャラクターの人間性で、数々の演劇人、映画人を夢中にさせてきた。

正義のヒーローとは真逆ながら、派手な衣裳を着こなして一種のカリスマ性を発揮する銀四郎は、宝塚のスターが演じても型破りな魅力を放つ。1996年初演の久世星佳、2008年と2010年の再演で演じた大空祐飛は、この役で観客の喝采を浴びた。水美にとっても一層飛躍するきっかけの役になるのではないだろうか。

銀ちゃんを心から慕うヤス役は、水美との共演も多い芝居心のある男役・飛龍(ひりゅう)つかさ。銀ちゃんとの深い師弟関係はもちろん、ヤスの悲哀や男気までしっかり見せてくれそうだ。また、小夏役に抜擢された入団3年目の娘役・星空美咲(ほしぞら みさき)は、2021年のバウホール公演『PRINCE OF ROSES-王冠に導かれし男-』に続く大役となり注目だ。

破天荒な映画俳優・倉丘銀四郎を、芝居・歌・ダンスの高いスキルがそろう水美がどう魅せるのか。大きな期待が寄せられている同作は、「Rakuten TV」および「U-NEXT」にてライブ配信。販売は9月3日・朝10時~10日・昼1時まで、料金は3500円。

文/小野寺亜紀

宝塚歌劇 花組梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演 プレイ『銀ちゃんの恋』~銀ちゃん、本日も反省の色なし~

●ライブ配信
日時:2021年9月10日(金)13時開演千秋楽
視聴方法:「Rakuten TV」および「U-NEXT」にて配信
料金:3500円
販売期間:9/3 10:00~9/10 13:00

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