神戸市「予断を許さない」コロナ重症化防止に医療体制を強化

2021.8.20 06:45

新型コロナウイルスの追加対策について説明する久元喜造神戸市長(8月18日・神戸市役所)

(写真8枚)

神戸市は8月18日におこなわれた市長定例会見で、新型コロナウイルス感染症対策の追加施策として医療体制の拡充を発表した。

同市の1日あたりの陽性者は、「第5波」の到来で100~200件周辺を推移していたが、8月17日は321人、18日は367人と、この2日で急増し、過去最多を記録。

久元喜造神戸市長は、「予断を許さない状況。通常医療を制限して病床数を拡大する時期が来たのではないか」と、市民病院機構と調整中であることを明らかにした。

こうしたなかで神戸市は、「第4波」の医療ひっ迫で患者が必要な治療を受けられなかったケースが相次いだ反省から、以下のような施策を追加。

1.宿泊療養施設での医療ケア体制を拡充

早めの診察で入所者の重症化を予防できるよう、宿泊療養施設に配置する医師の体制を強化

2.宿泊療養施設の療養者にも抗体カクテル療法

重症化リスクを70%軽減するといわれる、中和抗体薬「カリシビマブ」と「イムデビマブ」を組み合わせた「抗体カクテル療法」。これを病院だけでなく、宿泊療養施設のひとつ「ニチイ学館神戸ポートアイランドセンター宿泊棟」でも実施(8月下旬から準備ができ次第)

3.新たに4カ所目の宿泊療養施設を確保

「ホテルサンルートソプラ神戸アネッサ」(神戸市兵庫区)にて138室を確保。既存の「ニチイ学館神戸ポートアイランドセンター宿泊棟(100室)」「東横INN神戸三ノ宮駅市役所前(110室)」「東横INN神戸三ノ宮Ⅰ(88室)」に加え、4カ所目の運用

4.自宅療養者への対応強化

現在、感染確認だけでなく自宅療養者の健康観察もおこなっている保健センター(保健所)に、健康観察専門のフォローアップチームを設置。1日あたり15人の看護師らを配置することで、症状の変化をこれまでより早く把握し、重症化を防止

陽性者の急増で、保健所は患者へのタイムリーな連絡が難しくなってきたとのこと。健康局担当局長(保健企画担当)の山崎初美さんは、「保健所から電話かかってくるまでに体調が悪化したら、電話してもらえるとありがたい」と呼びかける。

なお現在はワクチン予約の年齢が下がり、19歳以上の市民であれば予約ができるようになっているほか、当日キャンセルで余ったワクチンを接種する「余剰ワクチンボランティア」を募集している。

久元市長は、「迅速にワクチン接種を進められれば、感染の拡大を終わらせ、長く続いてきたコロナとの戦いの出口も見えるのではないか」と期待を込めた。

取材・文・写真/合楽仁美

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