明治の日本へタイムスリップ? 古き良きルーツを再確認

2021.8.29 07:15

本多錦吉郎《豊穣への道》 個人蔵

(写真6枚)

9月7日より「京都国立近代美術館」(京都市左京区)でおこなわれる展覧会『発見された日本の風景 美しかりし明治への旅』。展示されるのは、明治時代の日本を描いた絵画作品で、しかもそのほとんどが初公開という貴重な内容となっている。

明治当時の日本は、文明開化や富国強兵の真っ盛り。ひたすら西洋化への道を進んでいく一方で、人々の暮らしや風景はまだまだ江戸時代の名残をとどめていた。やがて失われるそうした情景を、当時の画家たちは絵画作品に留めていたのだ。

さらに幕末から明治にかけては、大勢の外国人画家たちが日本を訪れていた時期でもある。彼らは日本の美しい風景などを描き、それを故郷への土産にしていたそうだ。当時の日本人画家たちは、そんな彼らの画技に大きな影響を受けたと言われている。

本展では、そんな西洋の画法を取得した日本人画家(笠木治郎吉、本多錦吉郎など)と、日本を訪れたことのある外国人画家(チャールズ・ワーグマン、アルフレッド・イーストなど)が油彩画や水彩画で描いた明治の日本、200点以上が展示される。

少し前の写真や映像を見ても、今との違いに驚くことがある。約150年前の明治時代では、なおさらだ。そうした体験を、絵画で味わえるのが興味深い。山や海などの自然、寺社仏閣などの建築、農村、漁村、庶民の日常、そのどれもが美しい。

本展を見た者は、映画『ラスト・サムライ』で主人公のアメリカ人が日本文化に感化されたように、失われた日本を再発見するだろう。それは甘美なノスタルジーであるのと同時に、忘れてはいけないルーツを探す旅でもある。

文/小吹隆文(美術ライター)

『発見された日本の風景 美しかりし明治への旅』

日程:9月7日(火)~10月31日(日) 月曜・9/21(火)休 ※※9/20(月・祝)は開館 
時間:9:30~17:00(金土曜~20:00) ※入館は閉館30分前まで
会場:京都国立近代美術館 京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
料金:一般1200円 大学生500円
TEL:075-761-4111(代表)

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