園子温監督、ハリウッドデビューは「色を付けたくなかった」
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『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』でメガホンを取った園子温監督
「ハリウッドデビューに対して舞い上がっていない」
──『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』というタイトルにもあるように、今作は自由や解放を求める囚われた身の人たちの話。園監督は自主映画時代からそういったテーマで撮っていらっしゃいますし、書籍『獣でなぜ悪い』(2018年)も自由について書いています。
確かにそうなんですけど、今回はハリウッド映画のデビュー作なのでそういうメッセージ性を出したくないんです。「園子温は社会派だよね」という色を付けたくないというか。・・・けど、まあまあ色が付いちゃいましたね(笑)。
──付いていますね!(笑)
だけど、「園子温とはこういう監督である」と規定されないものを作ったつもりです。日本人監督がハリウッドに渡るとき、ホラーが多いじゃないですか。そういう色を付けたくなかった。2作目は人間ドラマがやりたいし、社会的なものはそのあと。いろんな映画を撮りたいので、今回はあまり色を付けすぎちゃダメだなって、慎重になっています。この作品は娯楽大作として、ファミリーで観に行けるものにしました。ディズニー映画に近いんじゃないですか(笑)。
──とは言っても、物語で重要な役割を持つ時計塔の針も「戦後日本」を指し示していますし、社会派を強調しなくてもそういう要素はいろいろ出ていますよね。
隠し味のスパイスとしてね。時計塔の時間は広島原爆が落ちる1分前に設定していますし、紙芝居の場面では絵で福島が描かれていたり。ガバナーという悪役もシンボリックなアメリカ人で、彼に抑圧されている日本人の構図もあります。
ただしそれらは無意識的なんです、わざわざ押し出すつもりではなかった。無意識的だけど、感じていることがついつい出ちゃったんでしょうね。
──なるほど。
15年前、『愛のむきだし』(2009年)の撮影前にプロモーションでロサンゼルスへ行ってから、ずっと「俺はハリウッド映画が撮りたい」と言い続けてきたんです。当時はアメリカに憧れているだけだったんですけど、いつの間にかアメリカをディスっている自分も出てきました。つまり、15年かけてクールになったところがある。だから今回、ハリウッドデビューに対して舞い上がっていないんです。だからこそ良い感じに肩の力が抜けたというか。
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──今後はずっとハリウッドで映画を作り続けるんですか。
今の日本映画は自分にとってはちょっと息苦しい感じがしているけど、だからといって日本映画を撮らないわけではないです。ハリウッドでは娯楽映画をやるので、だったら日本ではもっとエッジが効いていて、自主映画に近いもの。それこそ『アンチポルノ』(2017年)みたいな、誰も撮れないものを作りたいです。
──先ほどおっしゃっていた「ハリウッドでの社会派作品」とはどういう内容を想定しているんですか。
2作目の内容も発表していないから、なかなか言えないけど、ワールドワイドな社会問題を考えています。地球規模というか。ただ、多くの人が「これを社会問題と言うの?」と驚いちゃうくらいの話をやろうかなって。それに僕の映画の場合、「社会問題」と言ったってそこまでのものじゃないですよ。だって『自殺サークル』(2002年)が社会問題かって言われたらそんなワケないじゃん?
※編集部注/『自殺サークル』:集団自殺をテーマにした園監督の過去作
──ハハハ(笑)。いやいや、『自殺サークル』はそういう見方をかなりされていますよ!
っていうか、今日たまたま『自殺サークル』のTシャツを着ているんだよね。イギリスかどっかで売られていて、ネットで買ったんです。僕が公認したものじゃないから「黙認Tシャツ」なんだけど(笑)。こういうのを着て取材を受けると「何かメッセージを放っているんじゃないか?」と勘ぐられることが多いけど、何もないです。
──これから園監督を紹介する際、メディアでは「ハリウッド監督」という冠言葉がつきますね。
うん、あれって変な言い方だよね。だってハリウッドで映画を撮っている海外の監督のことを、わざわざハリウッド監督なんて言わないし。そういうのはいかにも日本国内での言い方ですね。あと「国際的に有名な映画監督」とか。そうじゃなく、僕はただの「監督」と呼ばれたいです。
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