おかえりモネで光る永瀬廉の演技、朝ドラでのジャニーズの存在

2021.10.16 08:30

未知の隣に寄り添い、亮を見つめる百音(清原果耶)(C)NHK

(写真3枚)

多くの映画メディアで活躍し、本サイトLmaga.jpの映画ブレーンでもある評論家・ミルクマン斉藤。NHK連続テレビ小説も好み、毎朝チェックしているとのことで、朝ドラに関する記事も度々執筆するライター・つちだ四郎が、斉藤氏と『おかえりモネ』を振りかえる対談企画をおこなった。

今回はヒロイン・百音(清原果耶)の幼なじみ・亮を演じる、ジャニーズ事務所所属のKing&Prince・永瀬廉さんについてトーク。

■ 浅野忠信相手に渡り合う永瀬廉

斉藤「今作には未知役の蒔田彩珠さんや明日美役の恒松祐里さん、三生役の前田航基くんなど、若手のホープがガッと集められてるわけで。そのなかで、演技経験が比較的少ないのが亮役を演じる永瀬廉くんなわけだけど、そんな彼にあの浅野忠信の息子役をさせるというね。そして、キャスティングに負けないのが永瀬くんの演技。父親や百音とのやり取りで存在感を爆発させている。しかもキラキラを出来る限り抑えてるのが、俳優としての潜在力を感じさせるのよ」

つちだ「ですね。アイドルらしい華があるのに、『地元の漁師』にもちゃんと見えるところがすごいです。ジャニーズでキンプリのメンバーだと知らなかった人もいるようで、以前24時間テレビで永瀬さんが司会をしていたとき、『えっ、りょーちんがいる!』と驚く声をツイッターで見かけました(笑)。亮(永瀬廉)と新次(浅野忠信)の及川親子が出てる回は、毎回鬼気迫るものを感じますよね」

https://twitter.com/asadora_nhk/status/1447411898723487751

斉藤「うん。浅野さんによるあの圧巻の演技はもちろんだけど、そこに堂々と永瀬くんが渡り合っているのが凄まじい! 彼は間違いなく役者として売れるだろうし、すでに来年、二宮健監督の『真夜中乙女戦争』という主演作も控えてるんだけど、このドラマのおかげでオファーが急増してるんじゃないかな」

つちだ「確かに、永瀬さんが登場するだけで、ドラマ全体の雰囲気が変わるほどの存在感がありますよね」

斉藤「そもそも亮という役柄も、ほかではなかなか見ないキャラクターじゃないかな。まず、新次は典型的な過去を引きずってるキャラクターで。汐見湯の住人、宇田川さんと同じくらい重いトラウマを抱えて、全然そこから回復できていない人物。そんな父親の傷をよく理解して、労りながらも責めることはないという・・・」

つちだ「そう考えるとかなり献身的というか、健気なキャラクターですよね」

斉藤「そう、仕事だって父親のためにしているようなものでしょ? 亮は父親を責めず、怒るのは耕治だったり、周りの大人の役目で。代わりに亮は繊細に父親を見つめていて、それが演技から伝わってくる。あの親子の描写はいちいちシリアス極まる関係性を見せつけるよね。あれを朝からやるのもすごい勇気だし、同じ朝ドラ『エール』の戦争シーンと同じくらいの容赦のなさを感じる(笑)」

https://twitter.com/asadora_nhk/status/1433207052575334463

つちだ「亮の登場シーンですと、第79回で百音に告白するシーンもなかなかのやり取りでした。見ているのが辛くなるほど緊迫感のある会話劇というか」

斉藤「あのシーン良かったなぁ。告白シーンもだけど、第15~16週は展開にドライブ感があってずっとグラグラしていたな」

つちだ「その2週は百音、亮、未知、菅波先生のやり取りに目が離せませんでした」

斉藤「あと幼なじみ6人が集まって思いをぶつけあうシーンもよかった。でもただのわちゃわちゃだけでは終わらせないっていう。どの登場人物もその存在意義を引き立てるように作られていたんじゃないかな」

つちだ「そうですね。百音は気仙沼に帰って地元のために何ができるのか模索していて、未知は今後について悩んでいて・・・。亮はどうなるんだろう。公式サイトでのインタビューで、永瀬さんが亮に対して『好きだから好きだと言える相手を見つけて、自分の幸せを見つけてほしいです』と言っていましたが・・・りょーちんには幸せになってほしい!」

https://twitter.com/asadora_nhk/status/1448789731547000832

■ 朝ドラはジャニーズから演技派な子を見つけてくるのがうまい

斉藤「2015年の『あさが来た』でヒロイン・あさ(波瑠)が嫁いだ両替屋の三男・白岡榮三郎を演じたジャニーズWESTの桐山照史くん、2013年の『ごちそうさん』、そして『あさが来た』の2作に抜擢されたなにわ男子の西畑大吾くんとか・・・今回の永瀬くんで思ったけど、朝ドラはジャニーズから演技派な子を見つけてくるのがうまい」

つちだ「確かに、印象に残っている人が多いです」

斉藤「こないだまでBSで再放送してた『あぐり』(1997年)に、まだ少年時代の生田斗真が吉行淳之介役で出てたのにも驚いた」

つちだ「そして、次期朝ドラの『カムカムエヴリバディ』ではSixTONESの松村北斗くんが出ますし。映画やドラマにも出演が増えていますが、初の朝ドラということで楽しみですね」

『おかえりモネ』の放送は10月30日まで。10月19日には情報番組『あさイチ』に、百音役の清原果耶、未知役の蒔田彩珠がゲスト出演する予定。

文・構成/つちだ四郎

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