香港に実在したカオスなスラム街が舞台、ヨーロッパ企画の新作

2021.11.19 07:15

ヨーロッパ企画第40回公演『九十九龍城』

(写真11枚)

京都を拠点に活動する劇団・ヨーロッパ企画の最新舞台『九十九龍城』の大阪公演が、2月に上演決定。その会見が11月17日におこなわれ、作・演出を務める上田誠はじめ演者たちが意気込みなどを語った。

1998年に結成され、「コメディ」をテーマにした演劇で数々の名作を世に送り出した「ヨーロッパ企画」。ひと癖ある非日常な題材のもと繰り広げる作品は、長きにわたり全国各地のファンを魅了しており、「劇団員が作る映画」として打ち出した『ドロスてのはてで僕ら』(2020年)は国内だけでなく、海外からも称賛されたという。

コロナ禍により毎年おこなっていた全国各地での本公演の中止は余儀なくされ、2020年以降は映画やYouTubeチャンネルでの配信、また「生配信劇」といった新境地での活動がメインとなっていた。

今回上演される『九十九龍城』は、ヨーロッパ企画にとっては約2年ぶりとなる本公演で、上田は「メンバーが稽古場に集まって、本公演ができるっていうのは特別だなと。やっとこのときが来たか!という感じです。僕は演劇を観に行くというのは、ほかの部族の営みを覗くような、それぞれも劇団の独自の文化を観に行くことだと思っているのですが、今回の公演は僕らのトライブ(部族)感を観てもらえると思っています」と意気込んだ。

同作品のストーリーは、香港に実在したスラム街「九龍城」が舞台となっており、そこで起きた不可解な事件をきっかけに刑事2人が潜入していくというところから始まる。誰も足を踏み入れたがらず、マフィアや違法な出来事は当たり前。かつての「九龍城」をさらにカオスに描いた作品が『九十九龍城』となっている。

キャンバスに所狭しと書かれた台本を見せるメンバーの諏訪

また、今回のキャスティングはほとんどが「住人役」。当時約5万人もの人々が暮らしていたという「魔窟」がもとになった同作は、12人の演者がいながらも「キャストが足りない」とメンバーの諏訪が声を漏らす。記者会見では作・演出の上田がキャンバスに所狭しと書いた台本を取材陣に披露するシーンも見られ、会場からは「細かすぎ」と声が上がった。

魔窟に漂う濛々とした空気をコメディタッチで描く彼らの新作は、12月23日〜26日「京都府立芸術文化会館」(京都市上京区)、2022年2月19〜20日「シアタードラマシティ」(大阪市北区)にて上演される。大阪公演のチケット発売は11月20より、公式オンラインサイトにて(京都公演は発売中)。

ヨーロッパ企画『九十九龍城』

住所:「梅田芸術劇場シアタードラマシティ」大阪府大阪市北区茶屋町19−1
日時:2022年2月19日〜20日
料金:前売り5500円、当日6000円、学生シート3000円※前売りのみ

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