移動する「サウナ」が誕生!? 生まれ変わった姫路の路線バス

2021.12.20 08:45

廃車予定のバスを利用(写真提供:リバース)

(写真5枚)

2020年に巻き起こったサウナブームがまだまだ熱いなか、新たなプロジェクトが始動。「神姫バス」(本社:兵庫県姫路市)のバス車両を利用した、移動型サウナ『サバス』だ。

通勤・通学などで馴染み深い路線バスを改造し、外観はそのままに本格的な薪サウナが楽しめるという『サバス』。プロジェクトを立ち上げた「リバース」(本社:大阪府)の代表・松原安理佐さんに詳しい話を訊いた。

■ 海外の「改造バス」をヒントに

──移動型サウナと聞いて、心躍りました! はじめに『サバス』プロジェクトが発足した経緯を教えてください。

私はもともと「神姫バス」の事業戦略部に所属していたのですが、次第に「人を運ぶ」という目的以外でバスを利用できないかと考えるようになりました。

2020年の7月頃よりアイデアをもとに、サウナ検索サイトとして有名な『サウナイキタイ』さまにアプローチ。徐々に構想を固めていき、現在のプロジェクトメンバーが決定して本格的に始動したのは、今年の5月です。そして「神姫バス」より出向起業という形で、「リバース」を設立しました。

──なるほど。バスを活用するにあたり、なぜサウナと結びついたのでしょうか。

「何かバスを利用したい」とリサーチをしているときに、海外の「改造バス」というアイデアを知りました。海外ではすでに「サウナカー」や「サウナバス」が運用されていますが、日本ではあまり馴染みがありませんよね。

「日本でもこのような車両があればとても面白いのではないか?」と考えていくうちに、「せっかくなら路線バスを活用したい」と考えるように。路線バスを活用したタイプのサウナバスは海外でもありませんし、きっとユニークなものになると感じました。

できるだけ路線バスのテイストを残している「サウナ室」(写真提供:リバース)

──引退した神姫バスの車両を利用しているんですよね。構造はどうなっているんですか?

バス車内の雰囲気を残した「休憩スペース 兼 運営用事務スペース」と、本格薪ストーブを使用した「サウナ室」の構成となっており、サウナ室内では利用者が「降車ボタン」(通称:蒸気降りますボタン)が押すと、熱したサウナストーンに水がかかり蒸気を発生させる仕組み「オートロウリュ」を採用しています。

──なんだか楽しそうですね・・・! こだわりの部分はどこですか?

内装は、つり革といったバスの部材を各所に使うなど、いかに「バスっぽさ」を残すかにこだわりました。サウナ室は、2列目が高いなどバスならではの作りにし、上記のような降車ボタンを活用した仕掛けも作りました。

外装は元のバスを活かしつつも、サバスのロゴや「サウナ」と記載した方向幕など、所々にクスッとするサインを施しています。やはり普通のサウナとは違う「バス」の部分を楽しんでいただきたいですね。

■ 「テントサウナ」のイメージに近い『サバス』

──細部までこだわりが詰まった内装ですが、実現するにあたり難しかった部分はありましたか?

やはり難しいことだらけですね。まず、バスという動くもののなかにサウナ室を作る難しさがあります。万が一でも高熱を発するサウナが取れたり壊れたりすれば危険です。走行中、常に揺れているバス内でサウナが固定されるように作るのが、かなりの難易度でした。

そんななか、『サウナイキタイ』さまにはサウナ室内のユニークな仕掛けのご提案をいただいたり、サウナ面での木材の種類やストーブの種類のアドバイスをいただきました。

車内前方:休憩スペース兼 運営用事務スペース(写真提供:リバース)

──お話をうかがっているだけでも『サバス』に入りたくなってきました! 2022年2月に完成予定とのことですが、完成後はどのように運用されるんでしょうか。

まず「設置したい」というお声をいただいた企業や事業者向けに『サバス』車両をお貸し、提供します。利用する際には、駐車スペースのある施設やアウトドア用の施設に停泊させ、そこでサウナを楽しんでもらうという流れです。

──ちなみに使い方は普通のサウナと同じですか? おすすめの楽しみ方があれば教えてください。

一般的なサウナと同様ですが、どちらかというと野外でサウナを楽しむ「テントサウナ」のイメージが近いかもしれません。サバスに入り身体を温めたあと、仮設プールもしくは川、湖など自然の水風呂に浸かったり。

外気浴のようなイメージで、ぜひ利用者に「整う(注釈:サウナや水風呂などを繰り返すことで、身体や心をリフレッシュさせること)」を味わってほしいです。 みなさんの街に『サバス』がやってきた時には、ぜひ楽しんでみてください。

取材・文/つちだ四郎

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