「おちょやん」で話題の松竹新喜劇、素直な疑問をぶつけてみた

2021.12.15 07:15

左から我廼家いろは、渋谷天外、渋谷天笑

(写真4枚)

「役者が役者に教えていくということは、すごく大事」(天外)

──吉本新喜劇は座長が必ず作品に出て、中心で舞台を引っ張るイメージがありますが、天外さんは必ずしも主役を演じるとは限らないし、むしろ演目によっては出ていないこともあります。代表の役割って、なんなのでしょうか?

天外:ロールスロイスとかの前に、人形がポッと立ってるでしょ? あんなもんです(笑)。エンジンを動かすのでも、ハンドルを持つのでもなく、フロントに「代表です」という感じでいるという。

取材中の様子

──あの人形があると「あ、ロールスロイス!」とわかるのと同じように、天外さんがいると「あ、松竹新喜劇だ!」という感じに?

天外:そこまで言うていただいたらうれしいです。(2人に)君たちは代表に、どういう考えを持ってるの? この機会に聞いとこうか(笑)。

天笑:劇団の顔でしょうね。初代、2代目と喜劇の系図を経てきているわけですから、なるべくして代表になられたと思います。

いろは:そうですね。ただそうは言っても、天外兄さんはいろんなアドバイスをくださいますよ。ほかの先輩方もそうです。

天笑:本当にいろいろ教えてくれますよね。自分の場面を良く見せたり、やりやすくするためでもありますけど。でもそれって結構、特殊やと思う。

いろは:外部の公演に出たら、よっぽどのことがないと先輩に注意されないので、すごくさびしい気持ちになります(笑)。そういう意味では、本当にここは温かいなあと。

天笑:でも天外さんが代表だからって、全部に物を言うみたいなことではないんです。僕らで仕上げて、できたものを見てもらったときも、ことさら「こうしろ」とは言いませんし。どうしても気になることが出てきたら、ちょっと呼び出されたりしますけどね。

天外:役者が役者に教えていくというのは、非常に大事な部分なんですよ。ただ教え方を間違うと、つぶれてしまう若者もおるんでね。それを調整するのが、俺の役目かなって思います。

「『おちょやん』が、この名での本格的なスタートに」(天笑)

──最後に、ちょっと興味本位の質問ですが・・・ぶっちゃけ『おちょやん』の反響っていかがでしたか?

天外:うちの親父の評判が悪くなりました(一同笑)。

──成田凌さんが演じた2代目渋谷天外をモデルにした天海一平は、よそに女を作って千代と離縁するという、ひどい男に描かれてましたからね。

天外:これは実話なんですけど、親父が倒れたときに、お袋が病院に駆けつけて「お父ちゃん、私や!」って呼びかけたんです。そうしたら「ああ、ミチヨか」「違います」「ヒサコか?」「違います」言うて、5人ぐらいの名前を呼んだって(笑)。

いろは:私も1話だけ出演しましたけど、(天笑の)レギュラーがすごくうらやましかったです(笑)。その後の公演で、『おちょやん』の劇中劇でやった「お家(いえ)はんと直どん」に出させてもらったんですけど、「テレビで見たあの場面や!」という反響がすごくあって。やっぱり『おちょやん』の効果って大きかったんだなあと思いました。

天笑:朝ドラのレギュラーになるのが夢だったので、それが叶いましたね。結構名前を知ってもらえたし、これが僕の「渋谷天笑」としての、本格的なスタートやと思ってます。

『松竹新喜劇 新春お年玉公演』は、1月2日~10日に「南座」(京都府東山区)にて上演。チケットは一等1万1000円ほか、現在発売中。
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