神戸に新たな酒どころが誕生、26蔵の日本酒「飲み比べ」も

2022.2.19 08:45

4月29日にオープンを迎える「灘五郷酒所」

(写真10枚)

神戸の酒蔵が集まるエリア「灘五郷(なだごごう)」に4月29日、さまざまな酒蔵の日本酒を楽しめる酒場「灘五郷酒所」(神戸市東灘区)が誕生する。

「灘五郷」とは、神戸市近郊の西郷・御影郷・魚崎郷・西宮郷・今津郷という5つある酒造地の総称で、国内随一の日本酒生産量を誇る地区。休日には「酒蔵めぐり」などのイベントも度々催されるなど、日本酒好きからは注目の高いエリアとなっている。

今回はそんな「灘五郷」にある創業500余年の「剣菱酒造」(本社:神戸市東灘区)が、酒蔵だった場所をリニューアルし、新たな酒場をオープンすることとなった。

同施設では、灘五郷にある全26蔵の日本酒のなかから、各郷ごとに銘柄をひとつずつ選び、全5種の日本酒飲み比べができるメニュー「灘五郷酒所セット」(2500円)が登場予定。日本酒に合わせた酒の肴3品も付いており日本酒初心者でも試したくなる内容となっている。

酒作りの工程で使われる「麹蓋」と呼ばれる木箱に入った「灘五郷酒所セット」(2500円)

料理は、芦屋で人気の自然派料理屋「amasora」(兵庫県芦屋市)を営む池尻彩子さんが監修。素材には神戸の漁師が獲ってきた魚や、神戸・御影で65年続く老舗「おかげとうふ庵」の豆腐、神戸和牛専門店の「大井肉店」の牛すじを使用するなど、地域ならではの食材をふんだんに楽しむことができる。

また、「同店の名物になれば・・・」との思いが込められた「酒蒸し稲荷寿司」は、剣菱酒造の「黒松」を使用。出来立ての稲荷は、まさにお酒の甘い香りをまとう食欲そそる逸品で、池尻さんは「剣菱さんの黒松、おいしいから1番好きなんです!今後はみなさんの食事に話がはずむような料理が作れたら」と話す。

天井から吊るされているのは、八百万の神を描いたフラッグ

店内は「神社」をモチーフにした空間となっており、入り口に装飾されているしめ縄をくぐると、境内をイメージした木製のコの字カウンターに到着する。これまで、神々への祝い行事とともに飲まれてきた日本酒のバックグラウンドを表現したといい、「全国の酒蔵には、ぜったいに神棚があるんです。それほど日本酒の文化に神様は関わりが深い。それをアートで表現したかった」と、空間設計を担当した常深大輔さんは語る。

4月のグランドオープンまでは、各蔵の代表が講師を務める日本酒に関するセミナーや、神戸の食文化でゆかりの深い紅茶、コーヒーなどをテーマにしたイベントも予定しているとのこと。

剣菱酒造代表の白樫政孝さんは、「お酒の生産量が減っていくなか、日本一の酒どころ『灘五郷』全体の情報発信基地となる場所を作りたいと思った。灘五郷のすべてのお酒を体験できて、地域のコミュニティの場となったり、県外や県内の人も集まってくれるような場所になって欲しい」と期待を込めた。

営業時間は、土日祝の昼12時〜夜10時まで。4月29日のグランドオープンまでは、ワークショップやセミナーイベントを不定期開催予定とのこと。

取材・写真/木田容平

「灘五郷酒所」

住所:神戸市東灘区御影本町3-11-2
営業:土日祝10:00〜22:00

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