陶酔の世界へと誘う名作、「オペラ座の怪人」が大阪で開幕

2022.3.9 19:15

撮影:野田正明

(写真2枚)

劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』が3月6日、「大阪四季劇場」(大阪市北区)で開幕した。大阪での上演は約13年ぶり、5度目の登場となる。

ガストン・ルルーの同名小説を基に、アンドリュー・ロイド=ウェバーの名曲でつづられるミュージカル。ドラマとメロディが密接に絡みあった豊かな音楽性が、オペラ座の地下に棲む怪人と、彼が深い愛を注ぐ歌姫クリスティーヌ、彼女を心から慕う幼なじみのラウルという、緊迫感ある三角関係を盛り上げる。

まず圧巻なのが、モノトーン色のオープニングから、オーヴァチュアとともに一気に華やかな19世紀のパリへと導かれる舞台転換。巨匠マリア・ビョルンソンが、パリのオペラ座をテーマにした黄金に輝く彫像や、3万4千個のビーズなどで飾り付けられたシャンデリアが姿を現し、その眩しさには目を奪われる。

観客が座る劇場は、まさに19世紀のオペラ座のようなセットに。本格的なアリアや優雅なクラシックバレエを鑑賞する気分になると同時に、オペラ座で続く不吉な事件の数々に、登場する劇場支配人や踊り子たちと同様、ドキドキしながら行方を見守ることになる。

そして、神出鬼没で突如姿を現す怪人、その登場の仕方にもきっと息を呑むことだろう。劇場内の四方八方に響き渡る怪人の持つ甲高い笑い声には、劇場を掌握しようとする揺るぎない意志がみなぎる。だがそんな怪人に、母からの愛も得られなかった孤独や、人生の哀しみが垣間見えるとき、ギュッと心をつかまれる。

観客の心をかき乱し陶酔させながら、次々と展開してゆく物語の最後に何が残るのか。それはぜひ劇場で確かめてほしい。

3月4日におこなわれたプレビュー公演の怪人役は、2021年秋より怪人役を演じている清水大星。傷つきやすい少年のような怒りと熱情を感じさせる造形で、力強い歌声を存分に届けた。

また、この日クリスティーヌを演じたのは2019年に研究所入所の藤原遙香(大阪府出身)。声や演技に芯があり、堂々とした立ち振る舞いでクリスティーヌを好演。キャストは日によって替わり、組み合わせなどで味わいにも変化があるのも、同作品の魅力のひとつだ。

『オペラ座の怪人』大阪公演は、2023年春までの期間限定公演。チケットは7月31日公演分まで発売中。3月12日より、8月2日~11月30日公演分の一般前売りが開始される。

取材・文/小野寺亜紀

劇団四季 ミュージカル『オペラ座の怪人』

会場:「大阪四季劇場」大阪市北区梅田2-2-2 ハービスPLAZA ENT 7階
日程:2022年3月6日(日)~2023年春
料金:S席1万1000円、A席8800円、B席6600円、C席3300円(いずれもレギュラー)
   ※公演日によって料金は異なるため、詳細はオフィシャルウェブサイトにて

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