「ありがとう不比等さん」奈良・平城宮跡歴史公園、復原の大極門

2022.4.11 06:45

平城宮跡歴史公園で復原された大極門(南門)(3月19日の完成披露式の様子)

(写真7枚)

奈良時代の宮都跡であり、世界遺産登録されている国営の「平城宮跡歴史公園」(奈良県奈良市)では、平城宮の中心施設であった「第一次大極殿院」の復原整備事業が進行中。3月19日には第一次大極殿院の大極門(南門)の復原が完成し、現在は散策する人が多く訪れている。

平成29年11月に工事がスタートし、約5年かけて完成した「大極門」。奈良文化財研究所が昭和48年、平成17年、平成29年に発掘調査をおこなっており、門の柱の位置は確認できなかったが、その調査によって得られた手がかりから奈良時代と同じ位置に建てられた。

鮮やかな朱色の入母屋造(いりもやづくり)の二重門で、当時と同じ国産のヒノキを使用し、宮大工により槍鉋(やりがんな)などを用いた伝統的な技術とVRなど現代技術が融合。この門が当時なんと呼ばれていたかは文献資料では分からないとのことだが、日本や中国の宮殿などの事例研究を基に「大極門」と命名された。

現在は国営公園であり、今年で史跡指定100年という記念すべき節目を迎えた「平城宮跡歴史公園」。国営公園化を希望し、尽力してきた奈良県の荒井正吾知事は、3月19日におこなわれた完成披露式典で「藤原不比等がいる春日大社に向かって国営公園化をお願いしたことがあります。大極門の復原完成を迎え、いろいろな方のおかげでここまで来ました。不比等さん、ありがとうございましたという気持ちです」と語った。

「平城宮跡歴史公園」はお花見スポットとして、奈良市民の憩いの場として知られており、4月に入ると桜を見る人であふれている。今後は、第一次大極殿院全体の復原に向けて、東楼の復原に着手し、奈良時代当時の平城宮中心部を体感できるよう事業を続けるという。

取材・文・写真/いずみゆか

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