女優・萩原みのり、壮絶な役で注目も「また孤立させられる」

2022.5.12 09:00

出演作が相次ぐ注目女優・萩原みのり

(写真6枚)

「また萩原みのりを陥れようとしている」(萩原みのり)

──『成れの果て』や『お嬢ちゃん』といった主演作でも魂の叫びのような感情を爆発させるシーンがありましたよね。本作は、今までとはまったく違ったということでしょうか?

今回は叫ぶというよりは身体のなかにあるエネルギーを全部吐き出したような感覚でした。もうやりたくないです(苦笑)。あんなにしんどい思いはもう充分、この作品でお腹いっぱいになりました。もう死に際を彷徨う役はいいです。

──ある意味、そういった演技は萩原さんの代名詞のようになりつつあって、まるでそれぞれの監督たちが「俺はこんな萩原みのりを引き出した」と競っているかのようです。

「また、こんな風に思われてる・・・」って思います(苦笑)。また萩原みのりを陥れようとしているというか。また悪い人にされて、また孤立させられる、と。必ず居場所は奪われるし、悲しいとか苦しいとか「私だけなんで?」みたいな役が多いので、それこそ「なんで?」と思っています(笑)。

「また、こんな風に思われてる・・・」と語った女優・萩原みのり

──監督の期待を超えてやろう、とはならないですか?

前向きな気持ちで、「やってやろう!」と思ったことは今までないです。基本的に苦しんでいる役が多いので、後ろ向きな気持ちで現場に行っています。毎回、気軽に現場に行けないです。現場に行くことにすごくエネルギーを必要とすることが、ここ数年で増えたように思います。ずっと「コメディがやりたいです」と言っているんですけど(笑)。

──そういう個性的な役は、理解することが難しい役も多いと思います。演じるにあたって、どのように役に向き合っていますか?

例えば企画書などに「クセがある」と書いていたとしても、絶対にその子はクセのある子だと思わないようにしています。叫ぶような役でも、本来は普通の子の何かが爆発して、パンクしたからだと思うんです。狂ったような役と書かれていても、狂っているのではなくて、狂ってしまった瞬間があるという捉え方をしています。

──レッテルを貼らないということでしょうか?

外側だけを見ないというか。いじめっ子だとしても、その子にとっての正義があると思うんです。いじめる理由が傍から見たら悪でも、私が悪だと思って演じるのと、悪気がなくやるのでは見え方が違ってくると思うんです。それはなるべく心掛けています。

演じるキャラクターについては「外側だけを見ない」という萩原みのり

──だからか、萩原さんが演じてこられた役には嘘がないんですね。どの役でも、その人物なりの考え方があって、彼女なりに真っ直ぐ生きている。

演じる役に対して私がこういう子だと決めてしまうと、たぶんお客さんもそうとしか見られないんです。どれだけ激しい描写があっても、なぜか理解できると思ってほしい。自分の役を好きになってもらいたいから、どれだけ嫌な子に見えても、愛することができる部分はなるべく作りたいと思っています。

──そう考えるようになったきっかけは何だったのでしょうか?

学生時代に出たNHKのドラマの顔合わせで、永作博美さんが「この役をお客さんに愛してもらえるように務めます」とおっしゃっていたことに衝撃を受けたんです。仕事を始めて2〜3年だった私は、作品としてではなく、この役を愛してもらうというのが、すごく素敵だなと思って。それからは必ずどんな役でも自分だけは肯定しようと。私が演じる役のことを一番愛していれば、お客さんも好きになってくれると信じています。

映画『N号棟』

2022年4月29日公開
監督:後藤庸介
出演:萩原みのり、山谷花純、倉悠貴、ほか
配給:S・D・P

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