人気店「アトリエうかい」の行列クッキー、誕生秘話を訊いた

2022.5.15 10:30

「アトリエうかい」の鈴木シェフ(高島屋大阪店にて)

(写真7枚)

鉄板焼きレストランのデザートで出していた、軽い食感や果実の風味を効かせたクッキーが評判を呼び、2013年に独立したスイーツ店になった「アトリエうかい」。

関西、なかでも大阪では「阪急うめだ本店」(3月末に閉店)の行列で知った人も多いのではないか。今回、「アトリエうかい」の生みの親である鈴木シェフに、その誕生秘話を訊いた。

──甘いクッキーだけでなく、スパイスや野菜のフレーバーも「甘すぎずお酒にも合う」と人気です。スイーツとの組み合わせは難しそうですが、アイデアはどこから?

レストランにいた頃、食後にクッキーをお出ししていたらお酒を飲まれる男性の方から「しょっぱいのないの?」と声をかけていただき、チーズサブレを作ったら評判が良くて。ベーコンを炒めてパウダーにしたものや、トマトのピュレ、炒めた玉ねぎなどをちょっともらってクッキーに入れてみたり・・・。料理人に意見をもらいながら作っていましたね。

野菜やスパイスを使ったクッキーはおつまみにも◎

──そもそもレストランのデザートとして、なぜクッキーを出そうと思われたのですか?

実は、デザートのさらに後の、「プティフール」(小さな焼き菓子)として提供しているんです。最初はケーキとかを出していたんですが、やっぱりメインがステーキなのでお客さんの手が伸びなくて。そこで直接声を聞きながら、より小さく、軽くしたり、色や食感を工夫するようになり、今のクッキーに至りました。

するとだんだん「持ち帰りたい」っていう声が出てきて、最初はウエイターが用意した小箱に詰めてお渡ししていたんですが、それが評判になって。今度はお土産にしてほしいという声が増えてきて、台湾でイベントがあったときに作ったクッキー缶をきっかけに、スイーツ店としてオープンすることになりました。

──スイーツを専門にするパティスリーではなく、鉄板料理店にいたからこそ得たものはありますか?

クッキーって香ばしいばかりになりがちなんですが、レストランにいるとそうじゃないなって。例えば最初は食欲が湧く香りがあるものだったり、胃にやさしいものだったり、シャンパンに合わせて酸味があるものとか。うちのクッキー缶ではどれから召し上がってもいいように、味だけでなく食感や見た目も抑揚をつけています。あと、前職でお菓子屋にいたときは技法やレシピにこだわりがちだったんですが、レストランだと目の前のお客さんと話をしたり。反応がダイレクトなので、勉強になりましたね。

──クッキーの形やパッケージも「かわいい、お花畑みたい」という声が多いです。

流行りのデザインではなく、1つひとつに意味を持たせるように意識しています。たとえば「フールセック・サブレ箱」は当初、和食屋のお土産で出そうと思っていたので、縁起が良いとされる和柄「吉祥文様」をパッケージに用いています。うちのレストランの欄間や取っ手、座布団などに使われているんですが、実はおもてなしの心が込められてると知って、採り入れました。

文様をモチーフにしたパッケージ(「アトリエうかい 高島屋大阪店」限定商品3種)

「アトリエうかい」では、600円台の簡易箱から5000円の缶入りまで、さまざまなクッキーがスタンバイ。現在、「高島屋京都店」「高島屋大阪店」のほか、関東エリアに出店している。

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