現実離れネタで挑む、個性派芸人・ビスブラの「究極の笑い」とは

2022.5.19 11:15

お笑いコンビ・ビスケットブラザーズ(上から原田泰雅、きん)

(写真4枚)

『キングオブコント2019』で決勝進出、『第51回NHK上方漫才コンテスト』(2021年)では優勝を飾るなど、着実に実績を積み上げているお笑いコンビ・ビスケットブラザーズ(きん、原田泰雅、以下:ビスブラ)。

結成から11年目を迎えた同コンビが5月20日、念願だった「なんばグランド花月」(大阪市中央区)での初単独公演を開催する。吉本最高峰の舞台での公演を前に「気持ちが高ぶる」と話す2人に今回、「自分たちにとっての究極の笑い」について話しを訊いた。

取材・文/田辺ユウキ

僕ら、「ウォルト・デブニー」なんです(原田)

──お2人のスタイルは「何かを装う」ことが多いですよね。コントはもちろん、ネタ以外のラジオでも、原田さんが架空のゲストのキャラクターになりきるコーナーがあったり。そうやって演じたり装ったりすることが、ビスブラの重要なテーマな気がします。

原田:僕はひとりっ子で留守番が多かったんで、人形に台詞をつけたりしてずっと遊んでいたんです。あと母親はファンタジー映画が好きで一緒にそればかり観ていたし。ほかにも映画の登場人物の言葉を真似したり、漫画の台詞の吹替をしたり。そういう経験が今のネタにあらわれているかもしれません。

きん:僕は「まともな人がその場にいないこと」が究極的におもしろい気がするんです。お客さんに説明する立場の人物いなくても、おもしろさをちゃんと伝えたいというか。ネタのなかで、まともすぎる人間が出てくると「おかしいやん」って感じちゃうんです。だって原田みたいなやつが来たら、普通はその場から逃げるはず。そうならないということは、こっちもやっぱり変なんです。だったら、ぶっ飛んでいる人間を演じなきゃいけない。

──バラエティ番組で披露された「道で肩をぶつけた相手がいきなり夢を語り出すネタ」、あれも何の前触れもなくファンタジーがはじまる。で、最後のオチでようやく「お前、肩ぶつかったやろう」と。お2人にとって現実は後回しなんだなと思いました。

きん:たしかに。僕らはファンタジーが好きだし、そういうことをやりたいんです。

原田:僕らは「ウォルト・デブニー」なんですよ(笑)。だってビスケットブラザーズって、リアルコントをやるには2人とも見た目が特徴的すぎる。日常生活のなかでも僕らが並んで歩いていたら「変わった仕事をしている人やろう」となるはず。

きん:間違いなく会社員とは思わないですよね(笑)。

「コント中は正直カッコつけてますね。モテキャラしかやってないですよ。女性ファンの方から『またキモいことやってる』って言われますけど(笑)」と原田(左)

──これまでおこなってきた単独公演のタイトルは、合間に映画のようなVTRを流す演出から『同時上映』と付けられたシリーズや、ファットなどを意味する『ファ年玉』など意味ありげなものが多いですね。今回のタイトル『町のクチビル代理店』はどういう意図で?

原田:適当というか「どんなんやねん?」と思われるように、ふざけ気味に付けたんです。だから、そのタイトルをどういう風に公演内容に絡めていくかいろいろ考えました。それぞれのネタにタイトルは影響していないんですが、作品全体として『町のクチビル代理店』という印象を与えるものになっています。

きん:『拙者、センター分けにて候~同時上映「だってあいつ優しいもん」』(2016年)とかそうだったんですけど、公演のポスターのタイトルを見て、「観たい!」というお客さんもいるじゃないですか。だったら、タイトルに何かしら関連させた内容をやらなきゃ嘘になりますからね。

原田:今回も変なタイトルですけど、その中身がめちゃくちゃ見応えがあったら格好良いじゃないですか。たとえば『ウ○チウ○チマン』っていう公演タイトルなのに、最後は素敵な結末を迎えるとかね。

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