近鉄電車が大阪「夢洲」への直通に前進、集電装置の開発成功

2022.5.24 06:30

近鉄3200系

(写真2枚)

「近畿日本鉄道」(本社:大阪市天王寺区)は5月23日、「可動式第三軌条用集電装置」の試作品の完成を発表。これにより、統合型リゾート(IR)の整備が計画されている大阪・夢洲エリアへの直通列車実現に一歩前進した。

課題となっていたのが、列車が走行しながら電線から電気の供給を受けるための「集電装置」。夢洲への延伸工事が進む大阪メトロ・中央線&近鉄・けいはんな線と、奈良と大阪を結ぶ近鉄・奈良線は、生駒駅で接続しているものの、その集電方式が異なることから、現時点で近鉄奈良駅から夢洲への直通は難しかった。

中央線&けいはんな線は、走行レールの脇に設置された3本目のレールから電気を取り入れる「第三軌条(きじょう)」と呼ばれる方式で、一方、奈良線は車両上部に架線をめぐらせてパンタグラフなどで集電する「架空電車線方式」方式。その異なる線を直通させるために開発されたのが、今回発表された「可動式第三軌条用集電装置」だ。

「可動式第三軌条用集電装置」の概要

今回、近鉄電車はパンタグラフから集電する区間で走行に支障をきたす集電靴を折りたたんで収納できる試作品の開発に成功し、各種試験に着手することを発表。これにより異なる線の走行が可能となり、夢洲エリアへの直通が可能になったという。

同社は、「MICE施設やホテル、エンタテインメント施設など、国内外から多くの方が利用されると想定されます。当社としても、夢洲と当社路線を結ぶ直通列車を実現し、夢洲から沿線各地への誘客によって観光振興を図ってまいります」としている。

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