外国製かと思いきや、実は京都発!? 懐かし雑貨の現状を訊いた

2022.5.29 11:15

見覚えある!? 「グラディー」の雑貨たち。どれもポーチになっている

(写真11枚)

バナナやリンゴ、カメラにトースター・・・身近にあるものをモチーフにしたぬいぐるみやポーチ。それを集めた写真がツイッターに投稿されると、「これ、ウチにある!」「持ってた」「懐かしすぎる〜」など話題となった。そのポップなビジュアルから海外のブランドと思いきや、手がけている「グラディー」は、1991年に東京で創業し、現在は京都に本社を置く日本の雑貨ブランドだ。

「世の中にあるものをなんでもぬいぐるみにする」という精神で、30年にわたり商品を作り続けてきた同社。現在ではオンラインでの販売が主で、なかなか店頭で見かける機会がなくなった「グラディー」の商品だが、海外を中心に今も売れ続けているという。同社の創業者でデザイン・開発を手がけてきた佐沢一馬さんに、「グラディー」の現在について話を訊いた。

■ 「ほかにはないデザイン」のアイテムが占めていた90年代の雑貨店

──「ぬいぐるみ」が主力商品ですが、創業時は陶器を扱っていたとか。そこからどうやって今のようなグッズを作るようになったんでしょうか。

弊社を起ち上げた90年代初頭は、テディベアブームの真っ只なかでした。私自身、クマが好きだったいうこともあり、当初の1~2年はクマのマグカップを主に扱っていました。そこからテディベアを作るようになり、次第に今のようにぬいぐるみを手がけるようになったんです。

90年代後半までは、シンプルなぬいぐるみが人気だったのですが、ある時期から売り上げが下がっていきました。そこで、ぬいぐるみにポーチ機能を付けてみると、また売り上げが回復しました。ただ、最近はぬいぐるみブームが再来していると実感しています。

──はじめはシンプルなテディベアも作っていたんですね。グラディー商品は独特なビジュアルが特徴的ですが、佐沢さんがお一人でデザインされているとか。以前からデザインやものづくりがお好きだったんですか?

昔からアメリカの人形やおもちゃが好きで、よく集めていました。それに企業のノベルティやグッズを見るのも好きでしたね。うちの商品も「架空の企業が作っているノベルティ」をイメージしてデザインしているものもあります。

現在の雑貨屋といえば、有名なアニメやゲームのキャラクターといった、すでに確立されているキャラクターのグッズが売り場を占めていますよね。でも私は昔から、B級感や場末感のある「何コレ?」と思われる商品のほうが好きで、そういう商品を目指していたんです。

創業当時に作られたという、牛乳パックシリーズ

──なるほど。グラディーさんは、ほかにはないモチーフをグッズ化していると思うのですが、なにかこだわりがあるのでしょうか。

うーん・・・。ぬいぐるみを作っていた当時は、ほとんどのデザインが「ほかにはないデザインやモチーフ」ばかりだったと思います。今でこそ、文房具や果物をモチーフにしたぬいぐるみも多いですが、当時はそのようなぬいぐるみは少なかったと記憶しています。

例えば、クマにウサギの耳がついたフードをかぶった「うさくま」。こういったデザインは今でこそよく見かけますが、当時はうちが先駆けだったと思います。「特許でも取っておけばよかったかな・・・」なんて、今になって思ってますね(笑)。

──フード付きのぬいぐるみ、今では定番のデザインですが、グラディーさんが元祖だったんですね! ちなみに「うさくま」はSMAPの『夜空ノムコウ』(1998年)のPVにも登場したとか。当時は反響も大きかったのでは?

2016年、SMAPが解散した際に再販したのですが、PVが公開された頃よりそのときの方が反響は大きかったですね。今はネットやSNSの影響で、PVに登場したアイテムはすぐに特定されますが、当時はそうではありませんでしたし、そもそもPVに出ているぬいぐるみが弊社の商品だということも浸透していなかったようです。どちらかというと、漫画『ご近所物語』(矢沢あい)に描かれた影響のほうが当時は大きかったです。

──そうなんですね。その当時は「グラディー」というブランド名は知られていたんですか?

雑貨好きの方にはそこそこ有名ブランドでしたが、一般的に知名度はあまり高くはなかったと思います。SNSでの反響を見ても「あのぬいぐるみを作っていたのはグラディーって会社だったのか」という声も見かけましたし、日本のブランドじゃないと当時思われていたかもしれないですね。

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