外国製かと思いきや、実は京都発!? 懐かし雑貨の現状を訊いた

2022.5.29 11:15

見覚えある!? 「グラディー」の雑貨たち。どれもポーチになっている

(写真11枚)

■ 海外から大人気! 日本の「カワイイ」雑貨

──一見すると、海外ブランドのように見えるかもしれません。そういえばグラディーさんは海外での人気が高く、SNSのフォロワーも海外の方が多いんですよね。

海外では昔から人気が高く、海賊版が製造される商品もあるほどでした。国内だけで販売していた頃から、台湾やシンガポールなどのアジア圏や、イギリスやフランスなど海外からの問い合わせも多かったです。今はネットショップも海外からの利用客はとても多いですし、多くの商品を中国の代理店に卸しています。

本社を東京から移転したときや関連会社の倉庫を整理した際、昔の商品がたくさん掘り出されたんですが、中国の取引先からは「出てきた分はすべて欲しい!」と言われて。やっぱり、中国は買い物の規模がすさまじいなと痛感しました。

当時はインターネットが今ほど普及していなかったので、デザイン本や図鑑を読み製品開発の参考にしていたという

──すごい熱量ですね・・・。なぜそんなにも海外で支持されるようになったのでしょうか?

海外には日本の「カワイイ」ものが大好きなコレクターがいるらしく、そういう人たちがSNSなどにアップすることで、問い合わせが急増します。なかには「どこから?」と懐かしくなるくらい過去のレアグッズを持っている方もいますね。それから、以前はニューヨークなど海外の展示会にも出展していたんですよ。アメリカにもファンの方は多いと思います。

再販リクエストが寄せられることも多いですが、当時とは製造工場が変わっていることもあり、まったく同じものを再現することはとても難しいです。

──リクエストがあれば、復刻や再販にも対応しているんですか?

現在は、過去の商品の復刻やアレンジをして再販することが多いです。お客さまからのリクエストはなるべく受け入れたいのですが、商品化にはある程度の製造数が確保されていないといけないので、おのずと注文数が多い中国のお客さまからのリクエストが通ることが多いです。

正直なところ、以前の商品の復刻が望まれていることが多く、新しいものへのチャレンジはなかなか難しいのが現状です。そんななか、今年3月に自己紹介のようなツイートをしたところ、予想外に拡散されて。それをきっかけに、SNSの運用にももっと力を入れていくべきなんだろうなと感じました。

■ 雑貨屋が激減…ネットショップ中心の販売に

──グラディー商品は、以前まで雑貨屋にも並んでいたんですよね。なぜ、今はオンラインショップ中心での販売になったんでしょうか。

1990年代は「雑貨ブーム」だったこともあり、「キデイランド」「ザ・キタノショップ」「エイム」など多くの雑貨屋さんで扱ってもらっていました。サンリオさんの西銀座の直営ショップにも卸していたこともありました。

いろいろと要因はあると思いますが、景気の悪化や100円ショップの台頭のため、雑貨屋の売り場が縮小したり閉店が相次いだのが大きかったです。そこから、実店舗でお客さまに触れてもらう機会は激減しました。

──たしかに、街の雑貨屋は年々少なくなっている気がします。国内の実店舗でグラディー商品を手に入れるのが難しい現在ですが、今後の展望があれば教えてください。

そうですね。やはり、グラディーという雑貨ブランドをもっと国内の若者にも知ってほしいです。グラディーのグッズは、人とかぶらない、クセのあるものが多いんです。だからうちのグッズで固めると完全な「カワイイ」の世界になってしまう。最近はシンプルなデザインが流行っているので、そういう世界観が苦手な方もいるのだろうなと思います。

しかしながら、たとえばおしゃれな人がうちのポーチを1つ、身に付けたり使ったりすると「外しアイテム」としてギャップを演出できるはず。そういう使われ方も良いのではと密かに思っていますね。

日本の人たちは海外のかわいいものに目を奪われがちですが、海外に頼らずとも日本には以前から、世界中にアピールできるくらいのカワイイものを自ら作り出すカルチャーがありましたし、日本人はカワイイ愉快なものを作るセンスを持っています。今は景気がへこんで元気がない日本ですが、従来のカワイイ雑貨のカルチャーに誇りを持って、元気を出して欲しいです。

街の雑貨屋が減ってしまった現在は見かける機会が少なくなったグラディー商品の数々。30年前に起こった雑貨ブームを経た現在、海外で熱狂的なファンに支持されていることが分かった。バナナやカメラのぬいぐるみやポーチに懐かしさを覚えた人には、オンラインショップをのぞいてみることをおすすめする。

取材・文・写真/つちだ四郎

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