「風邪ひいてまんねん」じゃなくなった改源、紆余曲折のCM秘話

2022.6.18 07:15

印象的なイメージキャラクターの名前はそのまま「カイゲンの風神さん」

(写真6枚)

40代以上の関西人ならきっと反応してしまう? 「風邪ひいてまんねん」というフレーズでおなじみの風邪薬『改源』のCM。1982年から2008年まで放送され、ちょっとコワモテな「風神さん」のビジュアルも相まってお茶の間に大きなインパクトを残した。その「風神さん」のCMが今、令和テイストにアレンジされ復活している。

2024年で100周年を迎える『改源』。今回、「薬の町」として知られる大阪・道修町の「カイゲンファーマ」本社(中央区道修町)を訪問、長く愛用される薬と印象深いCMの裏話について訊いた。

■ おなじみのCM、関西と関東で異なるバージョンがあった!?

──関西弁が印象的な「風神さん」のCMシリーズですが、一度放送終了していたんですね。知らなかった・・・。

アニメーションの風神さんは2008年、デーモン小暮閣下とコラボしたCMがラストですね。実は、以前から社内で「『風邪ひいてまんねん』だけでは、結局どんな薬かわからないのでは?」と議論になっていたんです。

──たしかに、記憶には残るけど薬の内容までは分かっていない人は多いかもしれませんね。ちなみに、関西色が強いCMですが、ほかの地域でも放送されていたんでしょうか?

全国で放送されていたんですが、放送回数は関西の方が多かったこともあり、やはり関東では知名度は低いです。今でこそ芸人さんの影響で関東でも関西弁を聞く機会も多いですが、当時は関西弁はメジャーではなかったので・・・そのあたりも影響しているのかもしれません。

ちなみに、同じCMでも関西版・関東版で微妙に内容が異なるバージョンもあります。ネットでは、風神さんがタクシーに乗るバージョンが「懐かしいCM」として有名ですが、関東版だと「風神さんが関東にいく」というテーマになっています。

──地域によって内容が違っていたんですね! CMはどれくらいバリエーションがあったんでしょうか。

今では社内報しか記録が残っていないのですが、1シーズンに2~3種類が流れていましたし、咳止めのCMや関西版・関東版を併せると50種以上のパターンがあったと聞いています。

「カイゲンファーマ」の営業企画部の東満寛さん、山下尚子さん、廣瀬華加さん(左から)

■ 風神さんのほか、ユニコーンが候補に挙がったことも

──そもそも、俵屋宗達の風神雷神図屛風に描かれた「風神」を、風邪薬のイメージキャラクターにする、という発想がかなりユニークですよね。

『風邪ひいてまんねん」のCM放送を開始した1982年当時は、多くの企業で風邪薬が販売され、いわば「風邪薬競争」が激しい時代でした。そんな競争に打ち勝つため、何かインパクトを残すキャラクターを・・・という狙いがあったそうです。

当初は、風の神様を祀る神社を探していたそうなのですが、そこでなぜか「風神・雷神を参考にしよう」という流れになりまして。そこに大阪の「おもろかったらええやん」のノリを感じますよね(笑)。ほかのキャラクター候補だと、空想の生き物つながりで「ユニコーン」も挙がっていたと聞いています。

──ユニコーン! もしイメージキャラクターになっていたら、改源のイメージもガラッと変わっていそうですね(笑)。

当時の会議では「かわいい」をプッシュしようとする意見もあったみたいです。逆に「風神さんは子どもたちに怖がられるのでは」という懸念もあったそうで。でも、多くの風邪薬CMに勝てるインパクトで考えると間違いなく風神さんが1番でしょうし、何より面白いですよね。

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