フレッシュであり続けた46年、ムーンライダーズに新作を訊いた
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ムーンライダーズ(左から鈴木慶一、鈴木博文)
■ Daokoやxiangyuらミュージシャンが参加
──そして完成したニューアルバム『It’s the moooonriders!』ですが、メンバー全員が70歳前後になった今ならではの部分ももちろんあるんですが、コーラスの響きなどの全体にむしろ若くなったような感覚が聴き取れたのが意外でした。
博文「それは2人の女性ボーカルのせいでしょうね」
慶一「Daokoさんとかxiangyuさんという、ゲストボーカルのおかげもありますね。それもあるし、コーラスを録るときにはいつもクジラ(武川)が中心にいたんだけど、武川の声が変わってしまったので、あのガラガラの低い声を活かせるように使い方を変えたんですよ」
博文「バーズ(The Byrds)的なコーラスが出来なくなっちゃったんだね」
慶一「そう。いつも『コレはバーズで行こう』と言ってたんだけど、それが出来なくなったので、そこに代わりにドラムの夏秋くんやキーボードの佐藤優介くんが入ると、ホントにビックリするくらい若々しい声質になって」
──なるほど。
慶一「あとは、レコーディングの最後のコーラスを入れる時期に白井が2週間ほど入院していたので、そこでまた変わりました。そういったことが加味されているので、やっぱり11年前とは違うし、かしぶちくんの曲がないということに途中で気付くわけだけど」
博文「まぁ、それが1番大きいでしょうね。うん」
慶一「レコ―ディグの真ん中くらいで『ここらへんでかしぶちくんの新曲だよな、普通は』と。かしぶちくんの曲というのは、クラシカルだったりエキゾチックだったり映画音楽的だったり、非常に独自の雰囲気を醸し出すところが重要だったんだけど、それがない。だから、ちょっと私がかしぶちくんが書きそうな歌詞を意識した曲もあるけどね」
──3曲目の『S.A.D.』の歌詞がそうだとほかのインタビュー記事で読みました。
慶一「そうそう。通常、私は『リキュール』なんて言葉は使わないから。これはかしぶちくんが使うだろうなという言葉です」
■「21世紀に入ってから、歌詞はネット検索に助けてもらう」(慶一)
──今回はいつもと違ってコンセプトやテーマを決めずに作っていったそうですが、なにか慶一さんからディレクションしたことなどはあったんですか?
慶一「まず、デモテープの段階で歌詞も同時にあった方がいい、と鈴木博文が主張したんだよね。なぜか」
博文「なぜかって当たり前じゃん、そんなの(笑)」
慶一「いわゆるロック・バンドやポップ・ミュージックの、基本といえば基本だよね。でも、今までずっとそれを怠ってさ、曲から作って後から(歌詞を)付けていたんだけど、私が2000年代に入って曽我部(恵一)くんとソロを3つ作ったときに『あれっ、なんで歌詞ないんですか?』と言われたんだね。そのときから歌詞はすぐ作るようにしている。よっぽどのことがない限り」
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──2000年代以降の慶一さんのソロ作は、どれも言葉の強度が増した感がありました。
慶一「曲はパッと出来るんだよね。でも、歌詞は文字を頭のなかに入れとかないと、なかなか出ないと思うんだ。でも、21世紀に入ってからはコンピューターのおかげでどんどん出来るようになったね。検索して助けてもらう(笑)。あと、反語、類語とかさ」
博文「そんなことしてんの?」
慶一「類語だと『そんなことしてんの?』に近い言葉がどんどん出てくるんだ(笑)。すると、そのメロディーに乗る言葉にブチ当たる可能性がある。あと、打ち間違いとかね。打ち間違いでトンデモない変換になったりすると、これ面白いなと。人間は間違える生きものですから」
──博文さんは、あまりそういう作り方はしないですか?
博文「全然しないね」
慶一「この人は真面目にじっくり考えながら」
博文「まずはパソコンで打ちませんからね。鉛筆で書きます」
慶一「鉛筆で書くの!? すごいねぇ」
■ 「言いたいことが湧いてきて、それが歌われる音楽になる」(慶一)
──歌詞では「親より偉い子供はいない」「再開発がやってくる、いやいや」あたりもタイトル通りの内容で痛快ですが、ラストに置かれた慶一さん曲の『私は愚民』のように、最近の世間の動きに対してストレートに反応した歌詞が多いのが特徴的です。
慶一「やっぱり2020年に始めたってことは意味があるな。多くのことは偶然なんだけど、後で意味があるなと思ったりする。やはり外に出れない状況で作ってると、いろいろと文句があるわけだ。言いたいことがどんどん湧いてくるんですね」
──はい。
慶一「だから、言いたいことがあるってことは、いわゆるインストゥルメンタルを作っているわけではないので、ロックでもフォークでもポップ・ミュージックでもなんでもいいんだけど、そういう言葉が歌われる音楽になるってことだよね。で、録音が終わったら第三次世界大戦の危機みたいになってるし、困ったもんだ」
博文「自分はね、愚かであるというところから始まっているという」
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──博文さん作の1曲目『monorail』も、朗読風の歌詞やピアノの残響音を逆回転させたなかからだんだんとストーリーが浮かび上がってきて示唆的です。
慶一「この『monorail』は、1番意外なものを頭に持ってこようということになったんだよね。コレは何を歌ってるんだっけ?」
博文「愚かな人間が愚かを歌っている。で、年老いていくと」
慶一「で、なぜ最後に『私は愚民』が来ているかというと、後半のインプロが長いんですよ。これが途中にあると飛ばされちゃうから最後の方がいいかなということで偶然そうしたら、『愚か』で始まって『愚か』で締めてたんだ」
博文「これは偶然なんですよ、ホントにね」
慶一「偶然は恐ろしいわ。やっぱり人間はモノを作るときに、ハイになってるんだよね。そういうときというのは、自分たちが偶然と思っていることがなんか結びついてしまうことがあるんだな」
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