批判殺到した「ランドセルを軽くする」商品、小学生が反論

2022.6.4 08:45

「さんぽセル」使用イメージ

(写真7枚)

「小学生による小学生のための製品」として4月に発売されるや注文が殺到。現在3カ月待ちのヒット商品となった、重いランドセルを体感約90%軽くできるアイテム「さんぽセル」。この商品を巡ってさまざまな論争が繰り広げられている。

■ 「ランドセル症候群」への対策として商品化

現在「脱ゆとり」で教科書が大型化し、合計の重さはゆとり教育中の2002年の約2倍という調査も。小学1年生の平均体重は20kgだが、通学で背負う平均的なランドセルの重さは6kg。60kgの大人に換算すると、18kg(2リットルのペットボトル9本)の荷物に相当するという。

小学生の多くが不調を抱えている重いランドセルによる健康被害「ランドセル症候群」への対策として商品化されたのが、栃木県の小学生の双子と兄妹が中心となり、「悟空のきもちTHE LABO」(本社:大阪市福島区)とともに開発した「さんぽセル」(5940円)。2本の棒でランドセルをキャリー化できるアイデア商品だ。

既存のランドセルすべてに取り付け可能だそうで、キャリー時はランドセル5キロが体感約500gに軽減するんだとか。

しかし「さんぽセル」の発売がヤフーニュースに掲載された際、1000件を超える大人たちからの批判コメントが並んだのだという。そんな異常事態に、小学生たちは「さんぽセル事件」と呼び憤慨。コメントに反論を開始した。

さんぽセルを開発した6人の小学生

■ 「ちゃんと考えて文句言ってよ」小学生が反論

「何でランドセルを背負うかって、両手を空けて危険がないようにするためでしょう。意味ないどころか危険。本質を見失ってる」という意見には、「なんで、キャリーを持ったまま転ぶって思うの? ふつう手をはなします。20キロの灯油缶を背負って毎日30分歩いて、両手が空いているから安全です、って先生や大人が笑って自慢したらゆるします。きっと地獄です」と反論。

また「確かランドセルって後ろ向きにこけたときに頭、背中をガードする目的もあったんじゃなかった?」というコメントには、「そもそもランドセルが重いから後ろに転ぶんじゃん! おとなも灯油缶を満タンで背負ってみてよ! ぜったい後ろに転ぶよ! そんなに安全なら、学校終わったあとも、休みの日もランドセル背負わないと外に遊びに行っちゃだめ!って、なんで言わないの?」と疑問を呈した。

そのほか、「道はずっと平らではないし、階段もあるし上り坂も下り坂もある。どう考えても背負ってるほうが楽だと思う」という意見に、「そういうときのために、もとはランドセルなんだから、そのまま背負えばいいじゃん! いつでも、すぐそれができるように作ってます。ちゃんと考えて文句言ってよ」など。

小学生たちとともに試行錯誤しながら開発したという大学生・太田旭さんは、「脱ゆとり教育の都合で、勝手に異常な重さにさせられた小学生のランドセル。大人たちは『かわいそう』って言うけど、助けたり現状を変えてもくれず、小学生たちが自分たちを守ろうと考えたものには、とりあえず批判する」と現状を吐露。

そんな批判に対抗するため、5月30日よりクラウドファンディングを開始したという。太田さんは、「今回のクラウドファンディングは、小学生たちが社会に屈しないため、社会が無視できない数の『さんぽセル』を友だちに配りまくる資金にします。新しい時代の突破口を一緒に育て応援いただければうれしいです」と呼びかけている。

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