カベポスター、弱点を元に行き着いた…唯一無二の「喋り漫才」

2022.7.9 09:15

お笑いコンビ・カベポスター(左から永見大吾、浜田順平)

(写真4枚)

7月10日に開催される、若手芸人の登竜門『第43回ABCお笑いグランプリ』(以下、ABC)。今大会で優勝候補筆頭に挙げられているのが、4年連続で決勝進出を果たし、過去2度の準優勝経験があるお笑いコンビ・カベポスター(永見大吾、浜田順平)だ。今年3月には『第11回ytv漫才新人賞決定戦』(以下、ytv)で悲願の賞レース初優勝を果たし勢いにのる2人に、同グランプリへの意気込みなどを訊いた。

取材・文/田辺ユウキ

■弱点を削っていったら、今の漫才の形に(永見)

──『ABC』ではファイナリスト常連に『M-1』でも2年連続の準決勝と、各賞レースで実力を発揮していますが、今年の『ytv』での優勝は、大きな自信になったのではないですか。

永見:賞レースを獲った芸人って何かが変わる気がします。僕の場合は「自分の仕事を認めてもらえた」って、自信につながりましたね。「そろそろ楽屋のソファにどっかり座ってもええんちゃうか」って。

浜田:逆、逆! そういうときこそ謙虚にいかなあかんやろ(笑)。ただ、そんなに王者扱いはされていないんです。たしかに僕もからし蓮根さん、隣人さんが獲ったときもそんな風には接していなかったので当然なんですけど。だからこの前、三遊間の稲継が『ytv』についていろいろ聞いてきてくれたのはうれしかったですね。

提供:よしもと漫才劇場YouTubeチャンネル

──変わって2019年、2021年の『ABC』では惜しくも2位。「今年こそは」という気持ちが強いのではないでしょうか。

浜田:昨年は正直「勝った」と思ったんです。特にファイナルステージは、自分たちが満足できるウケ方をしていたので。だからこそ、負けたときの落胆は大きかったです。「これで勝てへんかったら、どうやったら良いねん」って。今回に関しては「結果を残して当たり前」と見られているでしょうし、勝ちたい気持ちは変わらないですけど、プレッシャーは少し感じています。

永見:でも毎回「昨年とは違う姿を見せるぞ」という気持ちで『ABC』に挑んでいますし、プレッシャーはあるけどチャンスだと思っています。今回もその機会を掴めたという、うれしさはありますね。

──今回は、昨年に続いて東京勢の決勝進出者数が大阪勢を上回ることになりました。過去にはダウンタウンやナインティナインなどの実力コンビを輩出した大阪名物のコンクールですが、時代とともに変化が感じられますね。

永見:東京勢の決勝進出者の数が上回ったなかで、大阪勢の1組に選んでいただいたことは、すごく価値がある気がしています。

浜田:今は配信もあり、たくさんの人がいろんな場所のライブを観られて、お笑いの交流が増えて隔たりがなくなったというか・・・すごく良いことだと思います。でも『ABC』は小さいときから観ていた賞レースなのでなんとか勝ちたいですし、もしも僕らが負けた場合は(同じ「よしもと漫才劇場」所属の)ドーナツ・ピーナツか天才ピアニストに勝って欲しいのが正直な思いです。

「ネタはおもしろくなっていってる自信がある」と語る永見(左)

──そんなおふたりの漫才なんですけど、いかにも漫才師らしい佇まいと言いますか。センターマイクを中心にして、ほとんど動かずとにかく喋りで勝負しますよね。その立ち姿がなんだか美しいなって。

浜田:そんなこと初めて言われました(笑)。立ち姿はまったく意識していなくて、むしろ僕らは猫背で姿勢が悪いですし・・・永見は背が高いですけど、もっとスラッとしてるコンビはいますよ。

永見:あまり動かないのもそこにこだわりがあるわけではないんですけど、ただ得意なことを伸ばしていこうと思ったら、動かなくなりました。弱点を削っていったら今の形になったんです。

──弱点とはどういうところですか。

永見:はっちゃけ具合ですね。僕らがはっちゃけても、ほかの芸人のおもしろさは超えられないんです。リアクションで頑張るよりも、とにかく喋りをちゃんと聞かせた方が良いんじゃないかって。

浜田:ギャグ漫才とか動きのある漫才では勝てない、ここなら勝負できるというところにいこうって。唯一無二がどこにあるのか探し出した結果なんです。

https://www.youtube.com/watch?v=-f4jogWzIiI

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