ちむどんどん第15週振りかえり・ウークイの夜
自然豊かな沖縄北部・やんばる地域から上京してきたヒロインが、一人前の料理人になるため奮闘する姿を描く連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK朝ドラ)。7月23日は「ウークイの夜」と題した第15週(7月18日〜7月22日放送)を振りかえる。
1978年(昭和53年)8月の旧盆に、ヒロイン・暢子(黒島結菜)は兄の賢秀(竜星涼)とともに、東京から故郷の沖縄・やんばるへと帰省する。沖縄の旧盆は3日間あり、その最終日である「ウークイ」はご先祖様をお見送りする最も重要な日とされている。そのウークイの日に、暢子と賢秀、良子(川口春奈)、歌子(上白石萌歌)の4人のきょうだい全員が久しぶりに揃い、互いの近況を報告しあう。
一方で東京では、同僚の愛(飯豊まりえ)との婚約を解消し、その後暢子へ告白するも保留にされた和彦(宮沢氷魚)が、気持ちの切り替えができずに職場の新聞社のデスクで沈んでいた。そこにやってきた上司の田良島(山中崇)から発破をかけられ、和彦は即日沖縄へ取材に向かうことになる。
和彦が以前から取材を切望していた、沖縄で遺骨収集の活動をおこなう嘉手刈源次(津嘉山正種)という男性による収集作業が同日におこなわれており、嘉手刈の妻からその現場に同行する許可が下りたのだ。
どのようにして嘉手刈の妻と連絡がとれたのか和彦が不思議に思っていると、暢子の務めるレストラン「アッラ・フォンターナ」のオーナー・房子(原田美枝子)が姿を現す。今回の取材は、房子を通じて嘉手刈の妻から許可を得たのだという。
沖縄には一度も行ったことがないという房子に、和彦は「嘉手刈さんとお知り合いなんですか?」と問うも、房子からは「ちょっとね」と返事を濁されるのみ。そして房子から「嘉手刈夫妻に渡してほしい、渡せばわかる」という風呂敷包みを手渡され、和彦は沖縄へと発つ。
そして沖縄では、突然持ち上がった母・優子(仲間由紀恵)と共同売店の責任者・善一(山路和弘)の再婚話に暢子たちが戸惑っていた。暢子たちきょうだいは、真相を確かめるために善一(山路和弘)に直接話を聞きに行く。すると、共同売店に出勤していると思っていた母の姿はなく、大人たちの様子から何やら母がどこかへ出かけているようだと察する。
暢子たちきょうだいはなかなか家に戻らない優子を待ちながら、これまでも母が行き先を告げずに度々家を不在にしていたことを思い出し、「何か私たちに秘密にしていることがあるのかな」と不思議に思い始める。
同じ頃、沖縄に到着した和彦は、遺骨収集がおこなわれている沖縄本島南部のガマ(洞窟)を訪れていた。さっそく嘉手刈への取材を試みる和彦だが、「帰ってちょうだい、マスコミは好かん」と拒まれてしまう。するとそこに、聞き覚えのある話し声と「やんばる」という単語が和彦の耳に飛び込んでくる。
振りかえると、そこには作業着姿に身を包んだ暢子の母・優子の姿があった。思わぬ偶然に、互いに驚く和彦と優子。和彦は「おばさんも嘉手刈さんの活動に参加しているんですか?」と問うも、優子は「ここで会ったことは暢子には言わないでね」と言い残してその場を立ち去るのだった。
その日の遺骨収集の現場活動を終え、和彦は嘉手刈の妻の厚意で自宅へと招かれる。房子からの預かりものを嘉手刈へと手渡した後、東京の田良島に経過報告の電話をする和彦。
そこで過去に遺骨収集のことを記事にした記者が田良島だったこと、そして記事が及ぼした影響への後悔から、いまも田良島が当時のことを忘れられずにいることを知る。そして房子からの預かりものは、嘉手刈から支援者の房子の手を通して遺品が返還された遺族からの御礼の手紙だったことも明らかとなる。
何も語ろうとしない嘉手刈だったが、和彦の沖縄行きのために協力してくれた田良島や房子の話をするうちに、次第に態度が柔らかくなっていく。戦争についてどうやったら正しく伝えられるのか、後世にどう語り継い良いのか悩む嘉手刈に対し、和彦は「一生かけて考えます。お約束します」と真摯な態度を見せるのだった。
そしてやんばるでは、母・優子が暢子たちが待つ比嘉家に帰宅する。どこに行っていたのか教えてくれない優子に、本当のことを話してほしいという4人。子どもたちの言葉に決意を固めた優子は、「長い話になるけど、聞いてくれるね。お父ちゃんとお母ちゃんの昔の話」と自身の過去と亡き夫・賢三(大森南朋)との出会いを語り始める。
そして時を同じくして、鶴見・横浜の三郎(片岡鶴太郎)と田良島、東京・銀座の房子と二ツ橋(高嶋政伸)も、それぞれ戦争にまつわる自身の過去と賢三との関係を明かしていく。
優子が取り出したのは、ある古びた一枚の写真。そこにはかつての若き優子と賢三が写っていた。優子の実家は那覇で食堂を営んでおり、そこで芸人一座で歌手を目指していた賢三と出会ったという。ほどなくして本土に出稼ぎに行った賢三は、横浜・鶴見で伯母の房子と初めて対面する。
房子の両親はやんばる出身で、幼い姉を残して横浜・鶴見へと出稼ぎに行き、そこで房子と妹が生まれた。そのため房子は沖縄に行ったことも姉に会ったこともなかったが、その姉の息子が暢子の父・賢三だったのだ。明るい若者で、三線も上手く、すぐに県人会にも馴染んだという賢三。そして、出稼ぎを終えて沖縄に戻ると、優子の食堂で住み込みで働くこととなる。
やがて月日は流れ、賢三は中国に出征。復員兵としてのちに帰還するも懺悔でうなされ、そのうえ米軍の統治下にあった沖縄にすぐに戻ることは許されずにいた。そして1945年の鶴見・横浜で、賢三は妹と空襲で生き別れた房子と再会する。闇市の食堂で生計を立てるふたりは、これからも協力して商売を続けていく約束を交わす。そして翌年、賢三は「家族の消息を確かめたら戻る」と鶴見を発ち、沖縄のあちこちの収容所で家族を探してまわる。そして、そこで優子との再会を果たす。
その時のことを語りながら、「運命の再会だと思った」と振りかえる優子。優子は沖縄を襲った大空襲を皮切りに家も家族も全て失ってしまい、弟と一緒に米軍の捕虜となったあとは収容所を転々としていた。その弟さえもひもじい環境で亡くしてしまい、生きる活力を失っていた優子。
しかし、賢三とやんばるで暮らし始めたことでもう一度生きる希望を見出し、のちに賢三と結婚することとなる。そして賢三は房子へ「やんばるで結婚する、約束を破ってしまい申し訳ない」という便りを送り、鶴見に帰ることはなかった。
新たな生活を送りながらも、戦争で失った家族にやりきれない気持ちを抱えていた優子は、ある日新聞で遺骨収集の記事を見つける。その記事をきっかけに、優子は賢三とともに遺骨収集の活動に加わったのだという。長い過去を語り終えた優子は、ようやく賢三との過去を子どもたちに打ち明けることができたと微笑むと、これまで秘めてきた胸の内を涙ながらに暢子たちに明かしはじめて・・・。
本作は、ふるさとの沖縄料理に夢をかけるヒロインと強い絆で結ばれた家族の、沖縄本土復帰からの50年の歩みを描く物語。奮闘する物語。放送はNHK総合で朝8時から、またBSプレミアム・BS4Kでは朝7時半から。土曜日はその週の放送を振りかえる。
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