影山ヒロノブ率いるJAM Project「限界まで続けたい」
アニソン界の大御所・水木一郎の「21世紀へ古き良きアニソン魂を残したい」という呼びかけで、2000年にスタートした「JAM Project」(以下、JAM)。現在は、アニメ『ドラゴンボールZ』のオープニング曲『CHA-LA- HEAD CHA-LA』などで知られる影山ヒロノブをリーダーに活動をおこなっている。
そんなJAMが今年7月に14枚目(!)のベストアルバムをリリース。さらに9月28日にコンセプトEPを発表し、ツアーもスタートさせる。コロナ禍で一度はペースダウンを余儀なくされたが、いよいよ「アニソン界のドリームチーム」の動きが活発化。今回は作品づくりやツアーについて、メンバーの影山ヒロノブと遠藤正明に話を訊いた。
■ 5人のハーモニー「なんとも言えないパワーがある」(影山)
──7月に、約4年9カ月ぶりとなるベストアルバム『JAM Project BEST COLLECTION XIV Max the Max』がリリースされました。活動22年で、ベストアルバムはこれがなんと14枚目!
影山:JAMはアニメなどとのタイアップありきのユニットなので、レコーディングの数もかなり多く、1年から2年で曲がどんどんたまっていくんです。だから毎回、ベストアルバムなんですよね。ただコロナ禍はレコーディングのペースが遅くなって、今回は4年9カ月ぶりのリリースとなりました。
──結構、間が空いたんですね。
影山:ただその間、新日本プロレスさんとのタイアップ曲『Max the Max』、『スーパーロボット大戦』シリーズの各曲、『ワンパンマン』第2期オープニング主題歌『静寂のアポストル』など核になる作品もいろいろできて、より幅広い人たちに楽しんでもらえるものになりました。
遠藤:ウチらはアニソンユニットなので作品ありきではありますが、でも曲はほとんど自分たちがオリジナルで作らせてもらっていて。そういうやり方が22年目にして、ようやく良い形で出せるようになってきた印象です。ソロで活躍しているアーティスト5人(影山、遠藤、きただにひろし、奥井雅美、福山芳樹)がうまく融合しているおもしろさがある。それぞれが前に立てるボーカルユニットって、ありそうでないですから。
影山:JAMはハーモニーに力を入れているからね。ハモ、メロディの上パートと下パート、そしてみんな合わせてサビをドーンと歌うときのなんとも言えないパワー。5人の相性が良いんだと思います。音楽の音階って、響かないカップリングだと共鳴しませんから。JAMって、メロディの上と下が合わさったとき、すごくインパクトが増すんですよね。
遠藤:兄さん(影山)が言うように、みんなの声が重なっていったときに「気持ち良い」となりますね。レコーディングでも、そういうとき「あ、JAMっぽくなってきた」ってみんな言うんです。
■ 「兄さん(影山)がリーダーだから、うまくまとまる」(遠藤)
──その一方でドキュメンタリー映画『GET OVER JAM Project THE MOVIE』(2020年)を観ていると、メンバーの声質が合わないときはすぐにそのパートの変更を決断するなど、シビアなやり方をしている印象でした。
影山:単純に「思っていた感じではない」「違うメンバーの方がこのパートは良いかも」と、より良い形を追い求めているだけなんです。で、その場で提案するようにしています。
遠藤:そうそう。それがたとえ兄さんであっても、「ここは兄さんじゃない方が良いんじゃないですか」って。やっぱり曲のことが第一なんで。5人で曲を作っていきたいという思いがあるし、「このパートを変えられたから悔しい」「歌いたかった」とか、そういうのはないですね。自分の役割をみんなちゃんと全うしています。
JAMってそういう部分も含めて良いバランスなんです。兄さんがリーダーだから、うまくまとまる。だってウチらより人一倍、なんでもやっているし。作詞作曲も兄さんが担当だし。だからこっちが「嫌だ」「疲れた」なんて言えません。個性が違う5人が集まったら本来はまとまらないし、長く続かない。それがうまくいっているのは、やっぱり兄さんの存在があるから。
影山:確かにバランスって大事ですよね。JAMの初期のように個性の強いソロアーティストが入れ替わりながら見せ場を作っていくスタイルも、ものすごく楽しいんです。ただ、活動初期からいろんなメンバーが変わっていくなかで、「ハーモニーというのは音楽のなかでも大きな武器なんだ」と気づくところがあった。やっぱり音楽にはいろんな種類があるし、それに対応していかなければいけない。今の戦力は、音楽的にはもっともバランス良く歌えている気がします。
──なるほど。
影山:あと僕らは、自分たちがこれまでやったことがないスタイルやサウンドを増やすことを目的にしているんです。アニソンに限らず、人間って得意なパターンがあるとそこに頼りたくなりますよね。ただ長い目で見ると、得意分野に頼りすぎると行き詰まりが早くなる。自分たちが通ったことがない道や山にチャレンジした方が、最終的に次に繋がっていく。それが、JAMが長く活動できている秘訣だと考えます。
■ 弱点は、かわいい作品の曲をやっていないところ!?
──JAMは最強のアニソンチームですが、逆にウィークポイントってないんですか。
遠藤:いっぱいありますよ、うるさいところとか。コロナ前とか、イベントの控え室でも隣の部屋の人から「うるさいです!」って言われていましたから(笑)。あと、ほかのアーティストは本番前に声出しの練習をするけど、ウチらはほとんどやらないんです。みんな、楽屋では笑い声ばかりあげています。でもみんな現役が長いですから、そこからバチっと切り替えてステージに上がれるんですよね。
影山:弱点といえば、かわいい作品の曲をあまりやっていないことかな。いままで『ケロロ軍曹』くらいですね。基本的には戦隊ものやロボットものが多いから、たまにはかわいい作品の曲もやってみたいなって。
遠藤:やりたいですよね。ウチらがかわいいアニメの曲をやったら、どうなるんだろうっていつも思います。
■ やっぱりライブが1番好き・・・10月からツアー
──9月28日にはコンセプトEP『THE JUDGEMENT』もリリースされますが、どのような内容になっていますか。
影山:ひとつの映画を観ているような感覚の作品です。人間がやってしまったことに対して、神的な視点からジャッジを下し、そして罰を与える。人間は苦しみ、しかしそこから再生していくストーリーになっています。この『THE JUDGEMENT』を引っさげて、10月にいよいよツアーをまわります。
遠藤:2020年に20周年記念の大きなツアーを予定していたけど、コロナで全部飛んじゃって。悔しい思いをずっと引きずりながら、ここまで来ているんです。大きい会場でのツアーは久しぶりなので、本当に楽しみですね。
影山:5人それぞれいろんな仕事があって、みんなやらなきゃいけないことがたくさんあるけど、やっぱりライブが一番好き。ミュージシャンとしてもっとも見てもらいたい姿は、ステージ上の自分たちですから。それがコロナのせいでずっと途切れていた。ようやく自分たちのライフワークが戻ってきた気持ちです。
遠藤:やっとJAMらしい活動が、またできるようになってきた。ウチらはソロアーティストが集まっているけど、ひとりで見る夢とJAMで見る夢がある。JAMにしか見られない景色って、まだまだあると思うんです。そう考えるとこの先、ワクワクしますね。
影山:JAMの活動ってかなりタフネスが要求される。でも、体力的に限界まで続けたい。みんなベテランだけどまだバリバリやれているから、これからもいろんなJAMの姿をお見せできると思います。
◇
『JAM Project LIVE TOUR 2022 THE JUDGEMENT』の大阪公演は、10月16日「東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール」にて。一般席8800円〜。
JAM Project
ベストアルバム『THE JUDGEMENT』
2022年9月28日(水)発売
LACA-25007 2200円(税別)
『JAM Project LIVE TOUR 2022 THE JUDGEMENT』大阪公演
日時:2022年10月16日(日)・18:00〜
会場:東大阪文化創造館Dream House 大ホール(東大阪市御厨南2-3-4)
料金:VIP席9800円、一般席8800円
電話:0570-200-888 (キョードーインフォメーション/月~土11:00~16:00)
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